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  UMSDOS HOW-TO
  Jacques Gelinas, jacques@solucorp.qc.ca
  v1.1, 13 November 1995

 訳者:藤井 真吾 <sfujii@super.win.or.jp / JCC04050@niftyserve.or.jp>
 28 July, 1996
 日本語版は JF-ML のサポートのもとで藤井が行いました。誤訳の指摘やご意見など
は訳者までご連絡ください。

  UMSDOS は linux のファイルシステムです。EXT2 ファイルシステムの代わりに利用
することができます。最大の目的は同じパーティションを共有することによって、より
簡単に MS-DOS のデータと共存をはかることです。この文書は、はじめにいろいろな
構成での Umsdos の利用法を解説し、そのあとで運用についての説明をし、これがよ
い選択肢であることを知ってもらうための情報を提供します(最後の UMSDOS-WHY-TO
を見てください)。


1.  UMSDOS: どこにあるのか?
1.1.  歴史
 Umsdos プロジェクトは 1992 年にスタートし、1994 年の 1 月にパッチの形で公開
され、7 月には 標準カーネルに含まれるようになりました (1.1.36 以降)。

 Slackware ディストリビューションでは、公式カーネルに取り込まれる以前の早い
時期から Umsdos が採用されていました。

  Umsdos はカーネル 1.1.60 から改良されはじめ、特に書き込みにおいて、そのパ
フォーマンスは劇的に向上しました。1.1.70 (頃)からはまた安定しています。

 大きなバグが Linux 1.2.2 で解決されました。このバグははじめからユーザに悲嘆
を与えるものでした(勝手にファイル名が変わってしまい、削除されたかのようなひど
い印象を与えるもの)。Slackware 2.2 にはカーネル 1.2.1 がついてきますので、まだ
このバグがあります。


1.2.  Availability
 カーネル 1.0.x ではパッチの形で提供されていますが、カーネル 1.2 には組み込ま
れています。一緒にコンパイルしてしまうことも、モジュールとして読み込むことも
できます。ここで注意しなければならないのは、もし umsdos をモジュールの形で読
み込もうとするならば、MS-DOS ファイルシステムもモジュールとして扱う必要がある
ことです。これはモジュールシステムの制限によるものです(モジュールとしてインス
トールされた時にのみ export されるシンボルがあるため)。


1.3.  サポートしているディストリビューション
 Slackware だけだったと思います。たぶん間違っているでしょうから、これを修正
する情報を私に送ってください。[訳注:デフォルトで umsdos ファイルシステムへの
インストールをサポートしているもの]


1.4.  ホームサイト
 Umsdos のホームサイトは sunsite.unc.edu です。ディレクトリ
/pub/Linux/system/Filesystems/umsdos を参照してください。


1.5.  技術文書
 Umsdos の内部についての文書はかなりそろっています。ユーティリティと同じ場所
に HTML とテキストのフォーマットで入手可能です。

 私の知っている限りでは、HTML バージョンは web サイトにオンラインの形では提
供されていません。ダウンロードして tar 展開してローカルで読まなくてはなりませ
ん。


1.6.  誰が書いているのか
 Jacques Gelinas jacques@solucorp.qc.ca



2.  ルートパーティションとしての Umsdos
2.1.  疑似ルートという概念
 Umsdos を使えば、Linux を標準 DOS パーティションにインストールすることがで
きます。Linux はそのパーティションでの二つ目の(あるいは三つ目の)OS としてイ
ンストールされます。名前の衝突を防ぐために(ドライブ C: に bin や tmp といっ
たディレクトリがすでにあるかもしれません)、Umsdos はスマートなトリックを使い
ます。これが疑似ルートです。

 Linux のファイルは全て linux という DOS のサブディレクトリにインストールさ
れます。普通は C:\LINUX です。Linux/UNIX の正規のディレクトリ構造がここに作ら
れます。そのため、このようなディレクトリ構成になります。

o C:\LINUX\BIN
o C:\LINUX\ETC
o C:\LINUX\LIB
o C:\LINUX\ROOT
o C:\LINUX\SBIN
o C:\LINUX\TMP
o C:\LINUX\USR
o C:\LINUX\VAR

 Umsdos をブートするときに、まずlinux ディレクトリを、それから /linux/etc を
検索します。もしこれらのディレクトリが存在すれば、疑似ルートモードを起動しま
す。

  普通擬似ルートモードでは、一般的なUNIXのディレクトリ構成におけるルートディレ
クトリに当たるものを C:\LINUXへ配置します。

/bin
/etc
/lib
/root
/sbin
/tmp
/usr
/var

 このリストに、DOS というディレクトリが加えられます。これは仮想ディレクトリ
です。


2.2.  疑似ルートについて知っておくべきこと
o このモードは起動時にのみ有効です。mount コマンドで起動する方法はありません。

o このメカニズムは普通の Umsdos ファイルシステムとはまったく別のものです。つ
まり、ルートパーティションとして普通に使われているパーティションは、マウント
はできますが、擬似ルートとしてマウントした時とは効果が違うという意味です。
[訳注:この文の意味がわからなければ、5. 基本原理 を読んでください]

 例えば、あなたがメンテナンスフロッピーから linux を起動して普通のルートパー
ティションを /mnt にマウントすると、全ての linux ディレクトリは /mnt/linux/bin
や /mnt/linux/etc などに見えるということです。



3.  Umsdos の運用に関しての別のトピック
3.1.  マウントオプション
 Ms-DOS ファイルシステムに対するのと同じマウントオプションを用いることができ
ます。conv= オプションは Umsdos システムでは問題となりますので避けた方がよいで
しょう。見ておきたいオプションは

o uid=
o gid=
o umask=

くらいのものでしょう。
  Umsdos で拡張されていないディレクトリに関しては、MS-DOS ファイルシステムと
全く同様に扱われます。上のオプションは拡張されていないディレクトリ全般につい
て適用されます。uid はデフォルトの所有者を、gid はデフォルトのグループを、
umask はデフォルトのパーミッションを設定します。


3.2.  ルートファイルシステムのデフォルトを設定する
  ルートパーティションに関するデフォルトのパーミッションを設定するためには、
umssetup というコマンドを使います。その他の Umsdos パーティションについては
mount オプションが利用可能で、umssetup も可能です。ルートパーティションでない
パーティションについては、/etc/fstab にマウントオプションを入れておく方がよい
でしょう。例をあげます。これを /etc/rc.d/rc.S に入れてください。

    /sbin/umssetup -u jack -g group -m 0755 /


3.3.  スワップするために、またはスワップしないために
  スワップファイルを利用すると、普通はスワップパーティションを使う時より遅く
なりますが、柔軟な運用ができるようになります。他の Linux ファイルシステムと同
様に、Umsdos パーティションの中にスワップファイルを作ることができます。例え
ば、ルートディレクトリに 8 メガバイトのスワップファイルを作るには、以下のよう
にします。

    dd if=/dev/zero bs=1024k count=8 of=/swap
    mkswap /swap 8192
    sync
    swapon /swap

 一度スワップファイルを作ってしまえば、/etc/fstab にこれを加えることができま
す。

    /swap   swap    swap    default

 スワップファイルはブートごとに有効にされます(普通、/etc/rc.d/rc.S に 
"swapon -a" が入っています)。



4.  Umsdos システムをブートするには
4.1.  Loadlin
 lodlin15.tgz というパッケージが sunsite.unc.edu の 
/pub/Linux/system/Bootutils にあります。このユーティリティは Umsdos システム
をブートするにはもってこいです。普通は以下のようにします。

    DOS をブートします
    C:>loadlinx zimage root=D:
[訳注:C ドライブのあるディレクトリに loadlinx.exe と zimage があると仮定。詳
しくは loadlin のドキュメントを参照]

 ここで、zimage は普通の(圧縮された)カーネルイメージで、単に DOS ドライブ
のどこかにコピーされたものです。D: は Linux をインストールした DOS ドライブで
す。


4.2.  フロッピーから
 Umsdos システムをブートするのは、Ext2 システムをブートするのと何ら変わりは
ありません。カーネルイメージ zImage に、Umsdos のルートパーティションがどこに
あるか設定しておく必要があります。これは普通コマンド rdev でできます。以下の手
順で zImage を初期化しフロッピーに格納します。

    rdev zImage /dev/hda1
    rdev -R zImage 0
    dd if=zImage bs=8192 of=/dev/fd0

 もしこれが煩わしく思えたなら、起動可能な DOS フロッピーを作って以下のファイ
ルをそこに入れてしまってください。

o loadlin.exe
o loadlinx.exe
o zimage

 そして、autoexec.bat にこのように記述します。

    loadlinx zimage rw root=C:


4.3. LILO
 Linux の公式ブートローダである LILO も Umsdos システムをブートするのに利用
できます。しかし私は実際に経験したわけではありません。1.1.60 以降で、利用でき
るはずです。何か知っていることがあったらメールをください。


4.4.  Umsdos パーティションをデフラグメントするには
 ポピュラーな DOS ツールでデフラグメントできます。Umsdos で提供されている
ファイルには悪い影響はありません。Umsdos は DOS のファイルシステム以上に特殊
なこと(ディレクトリレイアウト、ディレクトリエントリの順番、等)を要求しません。
 私の知っている限りでは、Linux 上でデフラグメントしてくれるツールはありませ
ん。


4.5.  Advance tricks
 Umsdos は DOS ディレクトリにある --linux.--- によって成り立っています。
ちょっとした実験をしてみたくなるかもしれません。umssync や umssetup と共に
umsdos_progs パッケージに入っている、udosctl というユーティリティを使えば、
--linux.--- や DOS ディレクトリとは無関係に、リストをとる、削除するといった基
本的なディレクトリ操作を行うことができます。



5.  基本原理
5.1. Introduction
 Umsdos は Linux のファイルを直接 Ms-DOS ファイルに割り当てます。これは一対
一の対応で、ファイルの内容には全く手をつけません。Umsdos はファイル名について
のみ取り扱います。リンクやデバイスファイルなどの特殊ファイルについては、また
別の扱いをします。

 それぞれのディレクトリに、--linux-.--- という名前のファイルが置かれます。


5.2.  Umsdos は Ms-DOS ファイルシステムの上位互換である
 Umsdos は linux の Ms-DOS ファイルシステムの上位互換を目的としたものととら
えることができます。ところが実際には、この能力と柔軟性が Umsdos に関しての混
乱を引き起こしてもいます。ここに理由が書いてあります。新しくフォーマットされ
た DOS フロッピーをこのようにマウントしてみましょう。

    mount -t umsdos /dev/fd0 /mnt

 そして、こうします。

    ls / > /mnt/LONGFILENAME
    ls -l /mnt

 このような結果が得られるはずです。

    -rwxr-xr-x   1 root     root          302 Apr 14 23:25 longfile

  これだけを見ると、Linux の MS-DOS ファイルシステム以上のことをやっているよ
うには見えないでしょう(実際何もやっていないのですが…)。

???


5.3.  ディレクトリの拡張
 これだけでは何も面白くないですね。ここにトリックがあります。Umsdos は、拡
張しない限り、DOS のディレクトリを Ms-DOS ファイルシステムと同じ方法で扱いま
す。Umsdos は Umsdos で拡張された機能(長いファイル名、所有者、など)を制限さ
れた DOS ファイルシステムに変換するために、サブディレクトリごとに特別なファイ
ルを作ります。このファイルは Umsdos のユーザには見えませんが、DOS をブートす
ると見えるようになります。DOS パーティションにこのファイル (--linux.---) が必
要以上にちらかるのを防ぐために、拡張するかどうかは選択できます。拡張しなけれ
ば、Umsdos は Ms-DOS と同じように振る舞います。

  ディレクトリを拡張してしまえば、Linux や Unix のユーザには表面的には完全に
違和感なく操作できます。拡張されたディレクトリにサブディレクトリを作ると、自
動的に拡張されます。

 この機能により、DOS のパーティションを DOS の部分と Linux の部分とできちんと
整理することができます。これらの --linux.--- ファイルはいくらかの空間(普通
ディレクトリあたり 2k)を利用することを理解しておかねばなりません。DOS は普通
大きなクラスタ(500 メガのパーティションなら 16k もの大きさ)を使うので、全て
の場所に --linux.--- を入れるなどということをしなければ、ディスクを節約できるで
しょう。


5.4.  どのように拡張するのか:/sbin/umssync
 ディレクトリは、/sbin/umssync を使うことでいつでも拡張できます。いつでも使
うことができます。ディレクトリの拡張では以下のようなことが行われます。

o  --linux.--- を作る
o  --linux.--- と現在のディレクトリの中身との一対一対応を確立する

  /sbin/umssync は、すでに --linux.--- が存在する場合は、それを作りなおしはせ
ずに、アップデートだけ行います。その中の抜けているエントリ(DOS セッションで
作られたファイル)を加えるだけです。その DOS ディレクトリにもはや存在しなく
なったファイルは、--linux.--- から削除されます。umssync という名前は、それが
--linux.--- を元の DOS ディレクトリの内容と一致させるところからきています。


5.5.  /sbin/umssync をブート時に使う
 もしまだなら、/etc/rc.d/rc.S の最後で /sbin/umssync を呼ぶのはいいアイデア
です。多くのシステムでは、以下のコマンドでうまくいくでしょう。

    /sbin/umssync -r99 -c -i+ /

 -c オプションは umssync にディレクトリの拡張をさせないオプションです。すで
に存在する --linux.--- をアップデートするだけです。

 このコマンドは DOS セッションの時に Linux ディレクトリにアクセスした場合に
有効です。Linux には DOS によってディレクトリが変更されたことを知る効率的な方
法がないので、必要に応じて(自動的に) umssync を起動することは出来ないのです。


5.6.  拡張を解除するには
 DOS を使って --linux.--- を削除してください。きっと後悔するでしょう。


5.7.  DOS セッションの間に作られたファイルはどうなるのか?
 DOS によってファイルが加えられたり削除されたディレクトリで umssync を実行し
ないと、いくつかの問題にぶつかります。

o システムを破壊することも大きな問題が起こることもないが、面倒だろう :-)

o DOS によって作られたファイル
  o これらは Linux からは見えない。
  o (見えないファイルと)同じ名前のファイルを作ろうとすると、ファイルがすでに存
  在するというエラーメッセージが出る。
  o このことで実際に問題があると勘違いして混乱する。ファイルシステム自体には
  害を及ぼすことはない。

o DOS によって削除されたファイルは問題を起こさない。Umsdos は最初のアクセスで
ファイルがなくなっていることを検知する。メッセージが出力されるだろう(そして
普通は /var/adm/syslog に書き込まれる)。


6.  インストールとアンインストール、そしていくつかのトリック
 Umsdos のインストールは普通の(Ext2 ベースの)Linux システムと大差ありませ
ん。
  大きな違いは二つです。


6.1.  疑似ルート /mnt/linux
  インストールの典型的な手順は以下のようなものです。

1. fdisk でパーティションを設定しフォーマットする。
2. ルートディスクを /mnt にマウントする
3. パッケージをすべて /mnt にコピーする。

 Umsdos では、step 1 は必要ありません(再フォーマットしないことが Umsdos の
目的でしたね?)。

 単にすべてのパッケージを /mnt にコピーするだけで Umsdos システムをインスト
ールすることができます。これで確かに動きます。しかし DOS のルートディレクトリ
(C:\)に一群のサブディレクトリを作るので、それが気に入らないかもしれません。
それが疑似ルートを使って Umsdos のインストールを行う理由です。そしてこれが 
Ext2 のインストールと Umsdos のそれとの大きな違いです:(疑似ルートを使うと)す
べてのファイルは /mnt/linux にコピーされます。


6.2.  /mnt/linux の準備
 /mnt/linux は一般的なディレクトリではありません。正しく Linux の長いファイ
ル名や特殊ファイル(リンク、デバイス)を正しく扱うために、ディレクトリの拡張
を行わねばなりません。/mnt/linux を拡張するのに必要な手順は以下の通りです。

1. mkdir /mnt/linux

2. umssync /mnt/linux

 これだけです!


6.3.  /mnt/linux が正しくセットアップされているか確認する
  /mnt/linux のセットアップは上のように簡単なのですが、インストールパッケージ
の中にはいまだに間違っているものがあります。どうしたものでしょう。

 インストール上の最大の問題は umssync プログラムの非互換性から生じます。
Umsdos は linux 1.1.88(はっきりとは思い出せません)にアップデートされ、
umssync の欠点はカバーされていないのです。Linux コミュニティの混乱を避けるた
めに、必要とされる互換レベルというものをすべての Umsdos ツールにつけることに
しました。古いバージョンのツールは単に排除されます。

 これは多くのディストリビューションがインストールディスク上の umssync ユー
ティリティをアップデートしていないからだと思います。

  このようなインストールパッケージがいまだにたくさんあるのです。結果として
/mnt/linux が全く拡張されないため、長いファイル名が切り捨てられたり、特殊ファ
イルが作成できなかったりします。

 何かうまくいっていないことがあるかどうか、インストールの最初にテストするこ
とも可能です。Linux の仮想コンソールのメカニズムのおかげで、インストールプロ
グラムを終了することなくこれを行うことができます。以下の手順を実行してみてく
ださい。

1. Alt-F2 を押す(Alt キーと F2 キーを同時に押す)
2. root としてログインする
3. cd /mnt/linux

  この作業を早くやりすぎると失敗します。パッケージの選択を終了した時点でこの
作業を行なうのが適当でしょう。

4. >TOTO
5. ls -l

  TOTO という大文字の名前の付いた空のファイルがあるでしょう。小文字で見えた
なら、それは何かうまくいっていないということです。umssync のステップをもう一
度実行してみてください。umssync は何回やっても問題は起きません。

    umssync .

 もしエラーメッセージがでなかったら、もう一度 TOTO テストをやってみてくださ
い。もし TOTO がきちんと表示されたら、万事 OK です。このインストールで何かが
おかしくても、単にほおっておきます。続けましょう。

6. Alt-F1 を押してインストール画面に戻る

 もしテストに失敗したら、新しいルートディスクを使うことが一番よい解決方法で
す。新しいバージョンの umssync をルートディスクに入れることにより解決できるで
しょう。これは難しくありませんが既に稼働している Linux システムが必要になりま
す。単にルートフロッピーディスクをマウントして、うまくいかない umssync を新し
いものと取り替えればよいのです。


6.4.  疑似ルートを離れるときに...(Oops releasing pseudo root ...)
  Umsdos のインストールが失敗する時には、大抵この奇妙なメッセージが表示されま
す。このメッセージは奇妙なものに見えますが、Umsdos のバグではありません。考え
られる原因は次のとおりです。

o もっとも一般的なもの

  Slackware のインストーラはインストールの非常に早い段階でスワップファイルを
設定しようとする。そのために、パーティション(dos ドライブ)を選択するように求
められる。そのあと、パーティションをマウントし、スワップファイルを設定する。

  Slackware システムのインストールでは、インストールに先だって目的のパーティ
ションをセットアップしなければならない。普通 DOS パーティションを /mnt にマ
ウントし、/mnt/linux ディレクトリをつくってそこで umssync を実行する。

  ほとんどの問題はここで起こる。ほとんどのユーザは "setup target partition"
のステップを忘れてしまい、残りのインストールに直接行ってしまう。/mnt がすでに
マウントされているためにこの誤りは見過ごされてしまう。これは /mnt/linux が正
しく作られない(拡張されない)ことを意味する。すべての特殊ファイルとリンク、そ
して長いファイル名が正しく作られない。

o 無効な umssync ユーティリティ

  /mnt/linux が正しくセットアップされていない。普通、インストールルートディス
クに入っている umssync ユーティリティによって引き起こされる。

o umsdos の古いバグ 

  Linux 1.2.2 以前の Umsdos にはバグがある。ファイル /etc/init がないと疑似ル
ートモードが正しく起動されない。init は今 /sbin に入っている。新しいカーネル
を入手することで解決できる。ほかのバグもカバーされていないし、それが 1.2.2 で
解決されているので、こうするのがいいだろう。

 もしアップグレードできないのなら、以下のようにしてください。

1. インストールディスクからブートする
2. root としてログインする
3. mount -t umsdos /dev/hdXX /mnt
 ここで、/dev/hdXX は DOS パーティション
4. cd /mnt/linux/etc
5. ln -s ../sbin/init init
6. cd /
7. Ctrl-Alt-Del
8. Umsdos は正常に立ち上がる


6.5.  Umsdos システムをアンインストールする
 Umsdos とその疑似ルートメカニズムのおかげで、何の害もなくアンインストールで
きます。DOS をブートし、linux ディレクトリを再帰的に削除するだけです。それだ
けです。Umsdos は config.sys に特別なドライバを必要としませんし、linux ディレ
クトリの外に何か特別のものを作ったりもしません。


6.6.  Umsdos システムをほかの DOS ドライブに移動する
 これは Linux からでも DOS からでもできます。linux ディレクトリを再帰的に一
つのドライブからほかのドライブに移すだけです。その後、ブートの手順(普通、
loadlin コマンド)と /etc/fstab ファイルを変更する必要があるでしょう。

 Umsdos はどの DOS ドライブにも置くことができます。C: ドライブにインストール
する必要はないし、一台目のハードディスクドライブにあるかどうかも重要ではあり
ません。これは全く問題になりません。

  実際、いくつかの異なったドライブに Umsdos のインストールをしてみるという実
験さえできます。


6.7.  50 台の Umsdos システムをインストールすることについて
 時間のないときに一抱えの Linux システムをインストールするのはどうでしょう?

 Umsdos システムは DOS の世界で生きています。Linux を簡単にインストールした
いならこれは有利でしょう。

 あなたのサイトで Umsdos システムをインストールし、設定することができます。
あなたの選んだパッケージと設定に満足がいっているなら、DOS をブートして linux 
ディレクトリのすべてを DOS サーバにコピーすることができます。そして、あなたは
別の DOS ステーションに行き、ネットワークドライブからローカルドライブにファイ
ルをコピーするだけです。これだけです。ブートスクリプト(Loadlinx)を修正して
起動できます。

 最小限の修正(ホスト名、IP アドレス)をすれば、誰でも簡単に、数分で Linux 
システムをインストールできるでしょう。

  賢明なる読者は、Ext2 ベースのものも含むどんな Linux システムでも、稼働して
いるシステムをコピーすることでインストールできることに気付くかも知れません。

  何をしているかわからないインストーラによって、知らないうちに隠しファイルが
インストールされることがないのは、Linux の美点の一つです。


7.  DOS パーティションに Linux セクションを作成する
 Umsdos は、Ext2(native な Linux ファイルシステム)のユーザも使うことがある
かもしれません。よくあるシナリオはこのようなものでしょう:

o Linux が気に入っていて、日に日に Linux パーティションがいっぱいになっている。

o DOS パーティションが半分空のまま、ほこりをかぶっている。

o 突然 Ext2 パーティションの空き領域がなくなってしまった。

o DOS を捨ててもいいものか決めかねている

  このような時、Umsdos で急場をしのぐことができます。DOS パーティションを 
Linux パーティションとして使うことができ、しかもそれによって Linux の機能が制
限されるということもありません。たとえば、C: ドライブに "extra" という名前の
新しいディレクトリを作成したいとしましょう。そしてこのディレクトリを普通の
Linux ディレクトリとして利用したいとします。こうしてください(C: は 
/dev/hda1 と仮定します)

    mkdir /c
    /sbin/mount -t umsdos /dev/hda1 /c
    mkdir /c/extra
    umssync /c/extra

 これを実行するには root でなければなりません。

 /etc/fstab をこのように設定することで、常時 /c/extra ディレクトリにアクセス
できるようになるでしょう。


8.  UMSDOS-WHY-TO
 Umsdos システムをどのように操作またはインストールするのかについての説明は十
分とは言えません。ほとんどの人は Umsdos を使うか使わないかについていくらかの
アドバイスを求めています。


8.1.  Umsdos の目標
 Umsdos の目標は Linux のインストールを簡単にすることです。もう一つの目標は
アンインストールを簡単にすることです。このアイデアは Linux の普及を促進するた
めのものです。システムに新しい OS をインストールすることはいつでも面倒なこと
です。OS/2 などは一群の新しいディレクトリで C: のルートを汚してくれます。もし
私のように器用であれば、config.sys や autoexec.bat さえも消してしまうかもしれ
ません。:-(

 Umsdos の疑似ルート機能がこのお呼びでない侵入を防いでいます。Linux は副作用
なしにアンインストールできます。


8.2.  誰が必要としているのか
  持っているハードディスクの容量が小さい場合は、Umsdos によって DOS と Linux 
でディスクスペースを共有することが可能になります。私の意見では 300M 以下が小
さなディスクです。この意見は今入手可能ないろいろなパッケージのサイズによるも
のです。あるポピュラーなワードプロセッサはすべての機能を選択すると 70 メガバ
イト程度を消費してしまいます。

  持っているハードディスクの容量が大きい場合は、Ext2 ファイルシステム上に
Linux 専用のパーティションを作った方がいいかもしれません。Ext2 は DOS よりは
比較的小さなクラスタサイズ(つまり 1k)を使うため、小さなファイルをたくさんイ
ンストールするときに Umsdos パーティションよりは小さなスペースしか消費しませ
ん。


8.3.  パフォーマンスについて
 Umsdos と Ext2 を比較すると、次のようになります。

o ディレクトリの扱いが Ext2 の方が速い。これは Umsdos の二重のディレクトリ構
造によるオーバーヘッドが原因である。

o ファイルアクセス(読み、書き)は Ext2 よりおそらく速いだろう。これは DOS に
採用されている FAT ファイルシステムが単純だからである。

 上の利点には犠牲が伴っていることに注意:

  o 一つのパーティションに 65,000 くらいのファイル、またはクラスタが最大であ
  る。このことは 500 メガバイトのパーティションが 16k の大きさのクラスタを使う
  ことを意味する。言い方を変えると、1 バイトのファイルでも 16k のディスク容量
  を使ってしまうことになる。

  o すべてはハードディスクの最初にある FAT によってコントロールされている。DOS 
  ファイルシステムはこのことにより比較的もろいものだと言える。

  o ファイルのフラグメンテーションを避けるための方法がない。Umsdos システムは普
  通、シングルユーザのワークステーションとして使われる。このケースでは、大した
  問題にはならない。マルチユーザエンジンとしては、ファイルはドライブ一杯に広が
  り、ファイルアクセスのパフォーマンスを落としてしまう。

o シンボリックリンクが普通のファイルとして格納される。もしたくさんのリンクを
張ると、Ext2 と比べて Umsdos は大変多くのディスクスペースを使うと感じるだろう。

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