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14. 上級者向け情報

Linux のようなシステムでは、 「高速かつ効果的ではあるが、致命的な破壊をもたらす可能性がある」 手法がたくさんあります。この文書も例外ではありません。 パワーには危険が付きものなのです。 以下のセクションではいくつかの奥義について触れています。 これらは関連文書をしっかり読んで、 危険性を熟知した上で使うようにしてください。 バックアップもとっておくべきでしょう。 バックアップを使ってゼロからシステムを復元できるかどうかも 一度は試しておいてください。 「バックアップはあるけど復元システムがない」と言うようなはめに陥った人は、 過去に何人もいるのです (あるいはもっと恥ずかしいことには、キーになるファイルがテープにない、とか)。

ここで述べているテクニックはほとんど必要とはされないでしょうが、 ごく特殊な設定では用いることもできます。 実行する前に、ほんとうに自分がそれを望んでいるかどうかを良く考えてください。

14.1 ハードディスクのチューニング

ハードディスクのパラメータは hdparms ユーティリティでチューンする事ができます。 最も効果的であろうパラメータとしては read-ahead があります。 これはシーケンシャルな読み込みにおけるプリフェッチの量を指定するものです。

これを試してみる場合は、 システムで良く使われているファイルサイズに合わせると、 もっとも効果が高いでしょう。 しかしこの設定はドライブ全体に用いられるので、 ちょっと難しいことになります。 おそらくこの手法が有効なのは、 大きなサーバでドライブ全体がニュースに用いられている場合などに 限られるでしょう。

安全のため、デフォルトの hdparm の設定はやや保守的になっています。 この設定の欠点は、頻繁に IRQ が飛び交うような環境では 割り込みをロストしてしまう可能性があることです。 例えばシリアルポートと IDE ディスクを両方使っているような場合、 IDE から発行された IRQ は他からの IRQ をマスクしてしまいます。 するとネットからディスクにデータをダウンロードするときなど、 理想的な値から性能が (それとわかるくらいに) 落ちてしまうのです。 このマスク動作をやめるには hdparm -u1 device とします。 性能が上がるかもしれませんが、 ハードウェアによっては逆にディスク上のデータが壊れてしまうかもしれません。 最新のバックアップを取ってから、注意して実験してください。

14.2 ファイルシステムのチューニング

ほとんどのファイルシステムにはチューニングのためのユーティリティがあります。 ext2fs には tune2fs があります。 変更できるパラメータはいくつかありますが、 最も便利なのは予約領域の大きさと、 それを利用できるユーザを設定するものでしょう。 これによってドライブを余分に使うことができるようになります。 ただしクラッシュしたときに修理用の領域が少なくなるというデメリットもあります。

14.3 スピンドルを同期させる

この方法そのものは危険ではありません。 ただし特定の要素が絡むとまずいこともあるようです。 多くのドライブでは、このあたりの詳細ははっきりしていません。 理論は単純で、 RAID を組んでいるディスク間で位相の差を一定に保っておけば、 リクエストのあったトラックに読み書きを行うヘッドが到達するまでの時間を 短くできるだろう、というものです。 実際には、最近のドライブには大きな先読みバッファがあるので、 この効果は無視できるくらい小さくなったようです。

スピンドルの同期は RAID 0 や RAID 0/1 では用いるべきではありません。 なぜならミラーされたセクタの別々の領域に、それぞれの読み取りヘッドを 配置できるという利点が失われてしまうからです。


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