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2. 始める前に

2.1 はじめに

このドキュメントは、あなたが Linux システムに Creative Labs 社の Sound Blaster AWE 32 または, Sound Blaster AWE 64 のインストールと設定をする ときの助けとなることを目的としています。ここでは Intel i586 プラット フォームでの Debian GNU/Linux システムを例に挙げて説明しますが、Linux サウンドドライバによってサポート されるどんなプラットフォームでも、またほとんどの Linux ディストリビュー ションでも同じ様に動く筈です。 (違いがある場合は、それが出てきた際に言及します)

Linux Sound HOWTO ( 追加情報 の項、参照)を注意深く 読みましょう 。 私は、私のドキュメントは Sound HOWTO の補足であると考えています。 また、私がここに書かなかったより多くの情報を発見できるでしょう。

2.2 SB AWE カードに関する一般的な注意点

SB AWE 32 サウンドカードは、raw オーディオデバイス、標準の OPL-2/OPL-3 シンセ、MPU-401 MIDI ポート、32ボイス EMU 8000 ウェーブテーブルシンセの 機能があります。(これらの説明や他の用語の説明は Linux Sound HOWTO をご 覧下さい) このドキュメントの一つの目標は、これらの全ての機能が正常に動 作するようになるためのお手伝いをすることです。

【訳注】raw デバイスというのは、入力を特に加工しないでたれ流すデバイス、 という意味です。
【訳注終り】

SB AWE 64 は、SB AWE 32 の機能に加えて Creative Labs 自慢の WaveGuide シンセを持っています。Linux ユーザにとっての問題は、追加された 32ボイス はソフトウェアで作成され raw オーディオデバイスを経由して出力されるとい う点です。Creative Labs は Linuxドライバの市場を考慮していないので Wave Guide シンセのサウンドドライバは、Windows 3.1 と Windows 95 にのみ対応 しています。

これは、Linux ユーザの視点からは SB AWE 32 と SB AWE 64 は殆んど同じ 物であるということを意味します。ここからは、単に SB AWE と呼び違いが ある場合にのみその相違点に触れることにします。

2.3 Plug and Play カードに関する一般的な注意点

近頃の Intel プラットフォーム用カードの殆んどは ISA PnP カードです。 PnP は``Plug and Play''の略語です。これはカードが OS によって設定され る必要があり、且つブート時に初期化ルーチンを通して行なわれる必要がある ということを意味します。一般的に、これを行うためには最低でも3つの方法 があります。

  1. PnP BIOS (BIOS が PnP カードを認識しそれらを設定できるという意味)。 PnP BIOS があるので SB AWE PnP の全ての機能を使うことができると考えている なら、残念でした。BIOS が PnP カードのサポートをするように要求しても、それ は単にサウンドカードによって使われるポートとアドレスのサブセットを初期化す るだけなのです。例えば、たぶん raw ウェーブデータを演奏することは出来るで しょうが、MIDI 音楽の演奏はできないでしょう。このため PnP BIOS は選択肢に は入りません。
  2. PnP カードをサポートする OS。 現在の安定バージョンの Linux カーネル (2.0.x)は、そのような OS ではありま せんから、私達は PnP デバイスをサポートするカーネルが今後リリースされるの を待たなければなりません。
  3. ブート時に PnP カードの初期化処理を開始する特別なプログラム。 これが私達が行う方法です。

Linux で PnP カードを初期化するために使われる最も一般的なソフトウェア は、``isapnptools'' です。 ( ソース の項と ことはじめ の項をご覧下さい)

2.4 ローダブル・カーネルモジュールに関する一般的な注意点

デバイスドライバには、カーネルの中に組み込む代わりにモジュールとしてビルドする ことができるものがあります。モジュールに関する詳しいことは Kernel HOWTO と Module HOWTO をご覧ください。( 追加情報 の項を参照)

あなたが PnP カードをお持ちなら、サウンドサポートはローダブルカーネル モジュールとしてインストールする必要があります。 これは、カーネルの中にサウンドドライバを組み込むことはできないが、実行 時にカーネルの中にロードできるモジュールとしてビルドする必要があるとい うことです。この理由は、ISA PnP カードが設定可能になる前にカーネルをイ ンストールし、ISA PnP カードが設定された後でサウンドドライバをロードす る必要があるからです。

サウンドカーネルモジュールは手動で

  $ insmod sound        または、
  $ modprobe -a sound   とするか、
  

あるいは適切な Linux システムブートスクリプトによってロードできます。 (Debian では、/etc/modules に sound を含む1行を追加すれば十分です) 別のアプローチは、必要に応じてカーネルモジュールをインストールしたり 削除するデーモンである kerneld を立ち上げることです。

kerneld は AWE サウンドドライバモジュールには最適の解決策ではないかも しれないということに注意して下さい。というのは、カーネルの中にモジュー ルをロードするには時間がかかるということです。特にウェーブテーブル・ シンセを使い、且つモジュールを挿入した後で毎回大きな Sound Font バンク をロードししなければならない場合です。 kerneld は、デフォルトでは未使用のモジュールを1分後に削除しますから サウンドモジュールを手で、あるいはブート時に挿入するというのは、たぶん 好ましいことです。サウンドモジュールを手で、あるいはブート時に挿入した 場合、モジュールが遊んでいるときでも kerneld は、これを削除しないという 点に注意して下さい。 ところで、手でサウンドモジュールを挿入することと、kerneld を使用するこ とは同時に出来ます。この2つの方法は衝突しません。kerneld は、もうサウ ンドモジュールには何も影響を及ぼしません。

これは特に、モジュールを削除したり再インストールした後でミキサーの設定 が割り当てられる場合に便利です。この問題の対策は ミキシング の項で述べます。(そこではサウンドモジュールを挿入した時に ミキサーを自動的に起動する方法を解説します) しかし、kerneld がモジュールをロードし、Sound Font バンクをロードし、 ミキサーを起動するには時間がかかり、これとその他の理由によってブート時 にサウンドモジュールをインストールし kerneld に削除させないということは 好ましいことなのです。

2.5 カーネル・サウンド・ドライバに関する一般的な注意点

サウンドサポートは、カーネルの中に組み込んで、あるいはローダブルモジュール としてインストールすることができます。PnP カードをお持ちならサウンドサポー トをモジュールとしてインストールする必要があります。理由は、モジュールがイ ンストールされる前に PnP カードを isapnptools で初期化しておく必要があるか らです。

お気づきのようにカーネルを再構築する必要があります。これに関して以下にいく つかのヒントを示します。それではカーネルソースの中のサウンドサポートについ てお話しましょう。カーネルは OSS (USS) のフリーバージョン(Lite バージョン) のサウンドドライバ付で配布されます。このドライバの現在のバージョン(3.5.4) は、完全には SB AWE をサポートせず、SB 16 の機能の一部をサポートしています。 従って、raw オーディオデバイスと、もし使うのであれば OPL-2/OPL-3 シンセも 動作しますが、ウェーブテーブルシンセによる MIDI の演奏はできません。

ウェーブテーブルデバイスを使いたいのであれば、 4Front Technologies から商用 のサウンドドライバを買うこともできるし(だれかそれが可能かどうか私に教えて ください) あるいは岩井 隆さんの AWE 32 Sound Driver Extension でカーネルに パッチをあてます。前者はこのドキュメントの範囲外で、私はあなたが後者を望ん でいるものと見倣します。

AWE32 Sound Driver Extension ( ソース の項をご覧下 さい)は GNU コピーライトライセンスのもとで発表されていて、SB AWE カードの EMU 8000 ウェーブシンセを使うための多くのツールと共に公開されています。

awedrv ソフトウェアは、既に新しいカーネルソースツリー(2.1.x のどれか 以降のカーネル) には入っていますが、それらは古いのでたぶんあなたはカーネル ツリー内のソースをアップグレードしたいと思うでしょう。


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