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  Linux Advocacy mini-HOWTO
  Paul L. Rogers, Paul.L.Rogers@li.org
  v0.4, 6 February 1997

日本語訳 中谷千絵 jeanne@mbox.kyoto-inet.or.jp
22 Feb.1997

  この文書は、どうすれば Linux コミュニティが Linux の利用を効果的に支
援できるかについてのアイディアを提供しています。

目次
1. この文書について
2. 著作権について
3. はじめに
4. 関連情報
5. Linux を支援しよう
6. 活動方針
7. ユーザグループ
8. 商用関連の情報
9. 媒体関連の情報
10. 謝辞



1. この文書について

  これは Linux Advocacy HOWTO であり、 あなたの Linux 支援への積極的な
奮闘を助けるガイドラインとアイディアを提供することを意図しています。

  この HOWTO は  NetDay96<http://www.netday96.com> の活動を通じて、
Jon ``maddog'' Hall さんが Linux を支援する
ガイドラインに生かそうという要請に応じた時に、彼によってこのような文
書をまとめることを示唆されました。彼はガイドラインにとても興味を示し、
それらが Linux コミュニティに役立つ活動方針の基礎であることに気づいて
いました。

この文書は HTML 版でも利用できます。次のところにあります。
 http://www.datasync.com/~rogerspl/Advocacy-HOWTO.html.

 Nat Makarevitch <nat@nataa.fr.eu.org> はこの文書をフランス語に翻訳して
います。

 Chie Nakatani <jeanne@mbox.kyoto-inet.or.jp> がこの文書を日本語
<http://jf.gee.kyoto-u.ac.jp/JF/JF-ftp/euc/Advocacy.euc> に翻訳しまし
た。

Linux Advocacy HOWTO の著者および維持者は Paul L.Rogers
<Paul.L.Rogers@li.org>です。コメントや提案の追加は歓迎です。

  Linux Documentation Project や Linux HOWTO 類についてもっと知りたい
なら、管理者である Greg Hankins<gregh@sunsite.unc.edu> さんと自由に連
絡を取ってください。Greg Hankins さんはこの文書を月例でそれぞれの国や
国際的なニュースグループに投稿するでしょう。


2. 著作権について

  この HOWTO は Paul L. Rogers 1996 に著作権があり、すべての権利を保有
しています。

  そのままのコピーは著者の許可なしに、どのような物理的、電子的メディア
で再発行、配布してもかまいません。翻訳も同様に、翻訳した人の注意書きを
含むなら早急に許可を得なくても許されます。

  短い引用は事前に著者へ連絡なしに使ってもかまいません。 
Advocacy HOWTO の派生的な作業や部分的な配布は、このファイルをそのままコ
ピーするか、コピーへのポインターを添えなければなりません。

  商用的な再配布は許可され推奨されていますが、著者としてはそのような配
布に関しても、報告して頂けることを希望します。

  手短にいって、我々は可能な限り多くの手段を通してこのような情報の普及
を勧めることを望んでいます。しかし、我々は HOWTO 文書の著作権は保持す
ることを希望し、HOWTO 文書を再配布するどのような計画についても知らされ
ることを望みます。

  さらに HOWTO で提供されたすべての情報が 広く普及することを願っていま
す。質問があれば、 Linux HOWTO の管理者である 
Greg Hankins(gregh@sunsite.unc.edu) さんに連絡して下さい。


3. はじめに

  Linux コミュニティは、Linux のいろいろな活用法について、Linux は(完
璧ではないけれど)安定しており、信頼性があり、頑丈な OS であることを随
分前から知っています。不運にも、Linux の存在とその将来性に、決定権のあ
る人を含めて、まだ気づいていない人たちがたくさんいます。

  Linux の配布パッケージに入っている linux とその他多くのものが、最大
限その力を発揮するためには、我々が Linux を使ってもらえそうなユーザを
開拓し、適切なことに Linux の利用を勧める(過大な期待を持たせないように
注意しながらも)のは大事なことです。多くの会社の製品が市場で成功してき
た理由は、製品の技術的優秀さによるのではなく、会社の営業力によるものが
多いからです。

訳注:Linux の配布パッケージは、 "Linux kernel" + "Perl" + "FSF/GNU
programs" + "TeX/LaTeX" + "X11" + "ghostscript" + "..."のように、多く
のものから成り立っています。

  あなたが Linux を使うのを楽しみ、そして、Linux コミュニティに何か貢
献したいなら、この HOWTO のアイディアのひとつでも、あるいは幾つでも実
行することを考え、そして Linux を学ぶ他の人をもっと援助してください。


4. 関連情報

 Lars Wirzenius は、Linux の支援について見解を持っています。
 <http://www.iki.fi/liw/texts/advocating-linux.html>

 Linux International <http://www.li.org> の目的は、Linux の開発と使用
を推進することです。

 Linux Documentation Project 
 <http://sunsite.unc.edu/mdw/linux.html> は Linux 支援にとってとても重
要な資料を提供しています。

  Linux Business Applications <http://www.m-tech.ab.ca/linux-biz>
ここは日々の仕事を Linux に依存している組織に、経験をわかちあう
ための場を提供しています。

 Linux Advocacy Project's <http://www.10mb.com/linux/> の目的は、ソフ
トウエアの Linux 版を提供するために商用のアプリケーションの開発者を援
助することです。

  Linux CD and Support Giveaway のプログラムは、
  <http://emile.math.ucsb.edu:8000/giveaway.html>
Linux の CD-ROM の再利用を勧めることで Linux をより広く入手できるよう
に援助しています。

  Specialized Systems Consultants, Inc. (SSC) は、 Linux Gazette
  <http://www.ssc.com/lg/> と同様に、オンラインニュースレターである
Linux Journal <http://www.ssc.com/lj/> を発行しています。


5. Linux を支援しよう

◎ Linux においてのあなたの経験談(うまくいったことも失敗したことでも)
を分かちあおう。ソフトウェアはバグが潜在し、限定事項があることは誰でも
知っています。Linux について熱烈に語るだけでは誠実ではありませんよね。
ちなみに私は、この3年のうちに実は4回(そのうち3回は予測できたことだ
けれどね)もアクシデントに出会って、リブートしなくてはいけなかったと話
して回るのが大好きなのです。

◎ 誰かが Linux で解決できるかもしれない問題にぶつかったなら、適切な情
報 ( Web ページ、雑誌記事、参考書、そしてコンサルタントなど)を教えてあ
げよう。提案した方法を実際に試したことがないなら、率直にそう言おう。

◎ Linux を使いはじめる人を援助しよう。

◎ 「新米」さんの質問に毎週ひとつづつ答えてみよう。手ごわい質問をさが
そう。あなたしか答えないかもしれませんが、あなたはその過程で何かを学ぶ
でしょう。しかし、あなたが的確に答えてあげる自信が無いなら、他に回答で
きそうな人をを探してあげよう。

◎  小規模なソフトウエアの開発会社をさがそう。そして Linux を紹介しよう。

◎  機会を狙って、あなたの雇主の情報技術グループに Linux を紹介しよう。

◎ NetDay96 <http://www.netday96.com> のようなコミュニティイベントに参
加しよう。あなたが何よりも優先しないといけないことは、そのイベントの成
功に寄与することだとしても、Linux は何ができるかということを彼らに知っ
てもらうチャンスを活用しよう。

◎ あなたが Linux を勧めたい人の観点をいつも考慮しよう。サポート、信頼
性、互換性やコストは決断を下す人が考えないといけない全要素です。上述の
なかで、コストはしばしばそれほど重要な部分ではありません。

◎ 自由に利用できるソフトウェア製品は、システム設計者、プログラマ、著
者、アルファ版やベータ版のテスターたち、そしてユーザの間にオープンな共
同開発の環境をつくりあげ、そのような環境はしばしば Emacs、Perl そして 
linux カーネルのようなよい文書が添付された頑丈な製品を作り出しているこ
とを指摘しよう

◎ Linux を売り込もうという努力の成果を Linux International
(li@li.org)や、似たような組織に報告しよう。

◎ もう不用になった Linux の CD-ROM や本の落ち着き先をみつけよう。
Linux に興味を持つ誰かに譲る、あるいは公共図書館や学校のコンピュータク
ラブに寄贈しよう。本や その付録のCD-ROM は図書館が最も適切でしょう。し
かし、CD-ROM の公開利用はライセンス同意や著作権を妨害しないことを確か
めてください。また、CD-ROM に収録されたものは自由に配布できることを図
書館職員に知らせましょう。書棚で利用できるようにしてもらおう。

◎ Linux を付録につけて配布されるソフトウェアの本を購入するときは、ソ
フトウェアの著者によって書かれた本に優先しましょう。彼らの仕事に対する
金銭上の報酬は、本の売上から受ける印税だけかもしれませんから。


6.  活動方針

◎ Linux コミュニティの典型的なものとして、メーリングリストやニュース
グループにふさわしいマナーで参加しよう。名指しすることや下品な言葉を慎
みましょう。あなたも Trovalds 氏をリーダーとする架空の会社の一員である
と考えてみてください。あなたの言葉は、読み手が Linux コミュニティに持
つイメージを高めることにも品位を 下げることにもなるでしょう。

訳注:「Trovalds 氏をリーダーとする架空の会社」とした部分の原文は、
Consider yourself a member of a virtual corporation with Mr. Torvalds
as your Chief Exective Officer. です。Chief Exective Officerは「会長、
社長」のような役職を表す言葉ですが、リーダーとしました。

◎ 誇張や無駄な具体性のない主張を避けよう。そのようなことは礼儀にかなっ
てないし、いいものを生まない議論になります。

◎ 投稿に対する思いやりのある、よく考えられた回答は、読み手に洞察を提
供するばかりでなく、あなたの知識と力への期待を高めるでしょう。

◎ あおるようなひっかけの話には関わってはいけません。話の筋道が多すぎ
ると「私の O/S はあなたの O/S よりもよいものだ」というような論争に退歩
してしまいます。Linux の性能を正確に記述し、そのような議論から離れよう。

◎ あなたが誰かを侮辱したり失礼なことをすれば、いやな思いをしたという
ことは他の多くの人たちにも伝わるのだということをいつも心にとめておこう。
あなたが誰かを怒らせてしまったのなら行いを改めよう。

◎ Linux は何を提供するのかをはっきりさせよう。競い合って相手を打ちの
めす必要はありません。我々は自分自身で作りだした優秀で堅実な製品を持っ
ています。

◎ 他のオペレーティングシステムの利用を尊重しよう。Linux はとても素晴
らしいものだけれど、すべての人のニーズにあっているわけではありません。
 
◎ その製品の正式な名称で他の製品を引き合いにだそう。企業を冷やかした
り、何か目新しい言葉を使ってその製品にいどんでも得るべきものは何もあり
ません。我々が Linux への関心を持ってもらうことを期待しているなら、他
の製品を尊重しなければいけません。

◎ 信用が必要なところには信用を作ろう。 Linux はカーネルでしかありませ
ん。GNU プロジェクトや MIT や バークレー、そしてここで言うにはあまりに
も多くの人たちの努力なしに Linux カーネルは多くの人々に利用されるよう
にはならなかったでしょう。

◎ Linux は特別な利用に間に合うだけだと強調してはいけません。Linux コ
ミュニティは Linux が与える選択の自由を大事に育ててきたように、何かの
問題に対して、Linux だけが解決できるのだなどと言わないようにしよう。

◎ Linux が役にたたない場合があるでしょう。まず最初にこのことを認めよ
う。そして別の解決の道を提供しよう。


7. ユーザグループ

◎ 地域のユーザグループに参加しよう。あなたの住んでいる地域にグループ
がないなら作ろう。Linux ユーザグループ <http://www.ssc.com/glue/> の情
報ページは、ローカルユーザグループを検索することができますし、ユーザグ
ループを発足させる方法について提言もあります。

◎  Linux に関心をもつ組織に意見提案ができる雄弁家を育てよう。

◎  あなたの活動についてローカルメディアに記事を出そう。

◎ ローカルなコミュニティ組織のニーズにあう Linux システムを構築するボ
ランティアをしよう。もちろんシステムの構築には、そのシステムを使うユー
ザを訓練することも含まれます。また、システムを維持するためのドキュメン
トを用意することも忘れないようにしよう。

◎ 会合で Linux Advocacy HOWTO を議論しよう。ブレインストーミングをし
よう、そして斬新なアイディアを出そう。

 
8. 商用関連の情報

◎ ハードウェアの購入を検討するとき、Linux のサポートと Linux 環境での
その製品を使った他のユーザの経験を聞こう。

◎ 製品に責任を持ち、サービスをしっかりしてくれる Linux 販売業者を支援
しよう。

◎ 
the Free Software Foundation<http://www.gnu.ai.mit.edu/>
the Linux Development Grant Fund<http://www.li.org/About/Fund/Welcome.html>
the XFree86 Project<http://www.xfree86.org/donations.html>
Software in the Public Interest <mailto:bruce@pixar.com>
このような収入の一部を寄付している業者を支援しよう。可能なら、これらの
組織や自由に利用できるソフトウェアを支援しているその他の組織に個人的な
寄付をしよう。

◎ Linux でサポートされていないアプリケーションを使う必要があるなら、
販売業者と連絡を取り、Linux 版を要望しよう。


9. 媒体関連の情報

  Linux International
<http://www.li.org/Products/Articles/Welcome.html> は、
Linux や GNU あるいは自由に配布できるソフトウェアについて掲載している
出版物の切抜き記事を収集しています。そのような記事を目にしたなら、次に
示す情報をつけて、 clippings@li.org に送ろう。

◎ 出版社名
◎ 出版社の連絡先
◎ 著者名
◎ 著者への連絡先
◎ 記事のタイトル
◎ その記事が掲載されている頁
◎ 利用できるオンライン情報があるなら、その URL
◎ あなたの意見を加えた記事の要約

  Linux が記事や批評、あるいはニュース内容の点で不当に扱われていると思っ
たら、上述の情報をつけて、li@li.org に詳細を知らせよう。そうすれば出版
社に適切な返答をすることができます。また、あなたが直接出版社に申し入れ
をするなら、不当に書かれた点について、手短にポイントを押えてきちんと根
拠を示し、プロとしてふるまいなさい。


10 謝辞 

次の方々の貢献に深く感謝いたします。

       Jon "maddog" Hall   <maddog@zk3.digital.com>
       Greg Hankins     <gregh@cc.gatech.edu>
       Eric Ladner       <eladner@goldinc.com>
       Chie Nakatani    <jeanne@mbox.kyoto-inet.or.jp>
       Nat Makarevitch  <nat@nataa.fr.eu.org>
       Martin Michlmayr <tbm@cyrius.com>
       Idan Shoham       <idan@m-tech.ab.ca>
       Adam Spiers       <adam.spiers@new.ox.ac.uk>
       C. J. Suire       <suire@datasync.com>
       Lars Wirzenius   <liw@iki.fi>


*v0.3 から v0.4 への変更箇所
*mini-HOWTO を HOWTO に変更した。
*Linux Business Applications (http://www.m-tech.ab.ca/linux-biz)を加えた。 
*この文書の HTML 版へのポインターを加えた。
*HTML のタグ形式を変更した。
*Lars Wirzenius についての情報を加えた。
*本を購入する際の提案を加え、ソフトウェアの著者を支援。
*"CEO" という略した記述を "Chief Executive Officer" に変更した。
  よりわかりやすく訳した方がいいでしょう。
* Linux ユーザグループ(GLUE)へのポインターを加えた。
* Linux の利用を通じてコミュニティへ援助することを提案した。
* 業者関連情報を「Linux を支援しよう」という項目から
   独立した1つの項目にした)と媒体関連情報を加えた。
* Martin Michlmayrさんの e-mail アドレスを変更した。
* 貢献者を追加。
* フランス語と日本語訳についての情報を加えた。
* バージョンと日付を変更した(Adam さんに感謝)
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日本語訳:中谷千絵 jeanne@mbox.kyoto-inet.or.jp
22 Feb. 1997

日本語訳についての問い合わせは
jeanne@mbox.kyoto-inet.or.jp

日本語訳は Linux-JF プロジェクトの次の方々から
多くのご助言を頂きました。ありがとうございます。

岡本さん ikko-@pacific.rim.or.jp
堀江さん shorie@dspj.co.jp
Yoichi "Yoshi" Hariguchi さん yoichi@sj.fore.com
伊藤さん nozomi@biol.tsukuba.ac.jp
斉藤さん  katsumi@jo1upk.ymt.prug.or.jp
小野さん  ono@jf.gee.kyoto-u.ac.jp
山崎さん  hiro@koneeko.linux.or.jp
中野さん  nakano@apm.seikei.ac.jp
守岡さん  t-morioka@nri.co.jp
吉田さん  hideki@isl.rdc.toshiba.co.jp
こじまさん isle@st.rim.or.jp/kojima@criepi.denken.or.jp
Hiro Sugawaraさん hiro@arkusa.com
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