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                   3ボタン・シリアル・マウス MINI-HOWTO
                                     
著者:Geoff Short (geoff@kipper.york.ac.uk)
訳者:衛藤 誠司   (seto@slip.net) 
 
v1.30 1st October 1997
訳:  28th October 1997 
  _________________________________________________________________
 
        0. 免責
        1. はじめに
        2. シリアル・ポート
        3. スイッチの付いたマウス
        4. 普通のマウス
        5. マウスを3ボタン・モードに切り替える
        6. gpm でマウスのモードを切り替える
        7. 2つのマウスを使う
        8. XF86ConfigファイルとXconfigファイルの例
        9. ケーブル、延長ケーブル、アダプタ 
       10. 様々な障害、設定
       11. 動作の確認が取れているモデル
       12. その他
       13. 最後に (Mouse Tail)
   _________________________________________________________________
 
0. 免責

この文書の内容は、正確なプログラムと正しい手順の作業の上でのみ信頼で
きるものになりますが、この文書の内容に起因する損害が出たとしてもその
責任は、著者、およびこの文書を執筆するに当たって協力してくださった方
々にはありませんので、その旨御承諾ください。(訳注:当然訳者にもその
責は、ありません。)
 
1. はじめに

この文書の最新版は、常に次の URL で見ることができます。

http://kipper.york.ac.uk/mouse.html
 
通常Xウィンドウのアプリケーションは、ユーザが3ボタン・マウスを使用
するという設定のもとに作られています。またシリアル・マウスは、最近最
も一般的で、非常に安価に手に入れることができます。( $1.89 というの
が、現在報告を受けている最も安いマウスの値段です。)これらのマウスの
中には、マイクロソフトの2ボタン・モードのプロトコルを用いた3ボタン
のマウスもあり、マウスシステムズの3ボタン・モードと切り替えることに
よって、自由自在にXウィンドウの設定ができるようになっています。

この文書では、そのようなマウスを各々のモードでどのように設定していけ
ばよいかについて説明します。なお3ボタン・モードについては、より有益
な使い方のできる設定の方法について説明します。
        
2. シリアル・ポート

まず最初にソフトウェアがマウスを認識するかどうかを確かめます。通常マ
ウスは、/dev/ttyS0(DOSのCOM1)、または /dev/ttyS1(COM2)のポート
に接続します。(ヒント:コンピュータの機種によって仕様が異なるため、
一概には言えませんが、たいてい ttyS0 は、9ピン・コネクタのポートで
ttyS1 は、25ピン・コネクタという設定になっています。) またttyS の
代わりに cua デバイスを使うこともできますが、この場合、設定途中で障
害を起こす場合がありますので、使用するときには十分注意してください。
/dev/mouse とシリアル・ポートとの間にリンクを張っておくと設定すると
きにとても便利です。例えばポートが ttyS0の場合、次のようにしてリンク
を張ります:

   * ln -s /dev/ttyS0 /dev/mouse

3. スイッチの付いたマウス

最も安価なマウスの場合は、そのようになっていないかも知れませんが、通
常3ボタン・マウスは、裏を見ると「2/3」や「PC/MS」のラベルと共に
切り替えスイッチが付いています。これは、マイクロソフトの2ボタン・モ
ードとマウスシステムズの3ボタン・モードとを切り替えるスイッチです。
「2/3」のラベルの場合、2がマイクロソフトの2ボタン・モードで、3
がマウスシステムズの3ボタン・モードになっています。ところがラベルが
「PC/MS」の場合、話しが少しややこしくなってきます。「MS」は、マイク
ロソフト、そして「PC」は、マウスシステムズと普通に解釈できるマウスも
ありますが、中には「PC」を ps/2 と説明のあるマウスもあります。ところ
がこのようなマウスでも「PC」は、マウスシステムズ・モードとして動作す
るはずです。お手元のマウスがこのようなマウスなら裏側のスイッチを「3」
もしくは「PC」に合わせ、マウスシステムズ・モードとして XConfig を設
定してください(下記参照)。3ボタン・マウスとして立派に動くはずです。
 
4. 普通のマウス
 
お手元のマウスにスイッチもなく、説明書きも何も無い場合は、少々実験が
必要です。まず初めにマウスのメーカーを信じて、マイクロソフト・モード
を100%サポートしていると仮定して XConfig を設定してみてください。
(Xconfig の項参照。)

この設定でマウスを動かしてみて、少しも動かない場合は、マウスがマイク
ロソフトのプロトコルを採用していないか、または他に問題があると考えて
ください。そういうときは、他のプロトコルを使って、もう一度設定し直し
てください。設定ファイルの書き方については、それに該当する man ペー
ジが一番のとっ掛かりになると思います。また後述の「様々な障害」の項も
参考になるでしょう。
 
マイクロソフト・プロトコルでXを動かしてみると、マウスは正常に動くけ
れど、3つあるボタンの内、外側の2つのボタンしか使えないということが
分かります。もちろんこれでいいのならこのままでもいいでしょう。さらに
3つ目のボタンをエミュレートして、真中のボタンを押せば、両端のボタン
を同時に押したときと同じ動作をするように設定することもできます。(こ
のようにしたければ、 Xconfig ファイルを下記の「Xconfig の例」のよう
に書き換えてください。)しかしこれでは、何のために3ボタン・マウスを
買ったのか分かりません。何とかして3ボタン・モードで動かしたいもので
す。ところがこれ以上ソフトウェアではどうすることもできないので、今度
は、ハードウェアで対処することにします。

 
5. マウスを3ボタン・モードに切り替える 

たとえ安価なマウスでもマウスシステムズ・プロトコルを使って3つあるボ
タン全部を動かすことができます。これには、少しトリックが必要です。そ
のトリックとは、マウスに「自分は、マウスシステムズのマウスなんだ。」
と、思い込ませることです。そのようにするには、次のことを行ないます:

   * マウスの左ボタンを押しながらコンピュータの電源を入れます。(ボ
     タンは、コンピュータが完全に立ち上がるまで押し続けてください。)

これでマウスをマウスシステムズ・モードに切り替えることができます。(
ずいぶんと簡単なことですが、これが説明書に書かれているのは非常に稀で
す。)ところが、コンピュータの電源を入れ直しただけでは、マウスの電源
を切ることができないシステムもありますので、こういうシステムではこの
方法は使えません。次にその他の方法について記しますが、これらの方法が
全てのマウスに対して適応されるとは限りません。これらの設定方法の中に
は、コンピュータを立ち上げ直すよりも簡単にできるものもありますし、ま
たもっと複雑な方法もあります。色々と試してみてください:

   * コンピュータの電源が入っている状態でマウスのコネクタを一旦抜き、
     次にボタンを押したままコネクタを差し込みます。(普通電源の入っ
     たコンピュータには、たとえどんなコネクタでも差し込まないのが常
     識のようですが、 RS232 の仕様書には大丈夫とありました。)

   * 次のコマンドを発行してマウスをリセットします:

     echo "*n" > /dev/mouse

     このステートメントは、マウスのコネクタを抜いたときと同じ効果が
     得られるはずです。マウスシステムズ・モードに設定したい場合は、
     コマンドを発行している間、左のマウスボタンを押し続けます。マイ
     クロソフト・モードの場合は、何もしません。このステートメントは、
     Xウィンドウを立ち上げるときに使うスクリプトの中に加えてもかま
     いません。    

   * Bob Nichols氏 (rnichols@interaccess.com) が、これと同じことを
     するCプログラムを書いてくれました。もし echo "*n" が動かなか
     った場合、これを試してみてください。(また逆にこのプログラム
     が駄目だった場合は、 echo "*n" を試してみてください。)ソース
     コードは、次のところにあります:

     http://kipper.york.ac.uk/src/fix-mouse.c

   * Xconfig ファイルに「 ClearDTR 」ラインがあれば、それだけでマウ
     スをマウスシステムズ・モードに切り替えることができるという報告
     もいただいております。

   * これは、少し度胸のいることですが、マウスの裏側のネジを外し、中
     を開けてみてください。すると中に前述の「3. スイッチの付いたマ
     ウス」の項で説明したマイクロソフトの2ボタン・モードとマウスシ
     ステムズの3ボタン・モードとを切り替える「MS/PC」スイッチが入
     っていることがあります。(注意:ネジを外し、中を開けてしまうと、
     もはや保証の対象外になってしまうので御注意ください。)なぜこの
     ようなスイッチが中に入っているかは、そのマウスのメーカーにしか
     分からないことだとは思いますが...。 安価なマウスは、このスイッ
     チが脱着可能なジャンパー・スイッチになっている場合が多いようで
     す。図で示すと次のようになります:

                 -----------
                | o | o | o |  SW1
                 -----------
                  1   2   3

     さらに中を開けただけでは、モードの設定がなされていないので、次
     にこれをセットします。まずこのスイッチの 1-2 を接続するか、ま
     たは 2-3 を接続してみます。これで動きが変わるようであれば、ど
     ちらかのモードで固定します。はんだ付けが必要な場合は、これらの
     ピンが接続されるように、はんだ付けします。

   * マウスの中を開け、少し配線を変えることによって、真中のボタンで、
     両端のボタンを同時に押したときと同じ動作をするようにする方法(
     この方法は、Peter Benie 氏「pjb1008@chiark.chu.cam.ac.uk」によ
     り報告していただきました。)があります。この方法は、マウスシス
     テムズの3ボタン・モードを全然理解しないマウスの最後の手段かも
     知れません。真中のボタンのスイッチに2極スイッチが使われている
     場合は、そのスイッチの一方のピンと左ボタンのスイッチのピンを接
     続し、そしてもう一方のピンと右ボタンのスイッチのピンを接続しま
     す。また真中のボタンのスイッチが2極スイッチでない場合は、ワイ
     アの代わりに2個のダイオードを使って接続します。さらに 
     XF86Config ファイルで、「chordmiddle」を指定し、真中のボタンを
     動作させます。

   * またBrian Craft 氏 (bcboy@pyramid.bio.brandeis.edu) が、はんだ
     鏝を使った決定的なモード設定の方法を報告してくださいました。現
     在最も一般的に使われているマウスのチップに16ピンの Z8350 と
     いうチップと18ピンの HM8350A というチップがあります。これら
     のチップは、両方とも次の表で示すように第3ピンでマウスのモード
     の制御をしています: 

     第3ピン   モード
     --------   ------
     Open       デフォルトは、マイクロソフト。電源投入時にボタンを
                押していればマウスシステムズ。
     GND        常時マウスシステムズ。
     Vdd        常時マイクロソフト。

      (通常ピンは、次のようになっています:) 
               ____ 
        第1ピン -| \/ |-
        第2ピン -|    |-
        第3ピン -|    |-
             -|    |-
             -|    |-
             -|    |-
             -|    |-
        第8ピン -|____|-

     (これらの情報は、 Hans-Christoph Wirth 、Juergen Exner 両氏
     によって de.comp.os.linux.hardware に投稿されたもので、転載
     許可も取ってあります。)常にマウスシステムズのモードに設定し
     ておきたい場合は、第3ピンと GND を繋ぎます。

     ○Peter Fredriksson 氏 (peterf@lysator.liu.se) が、SYSGRATION
       の SYS2005 チップで第3ピンと Gnd を繋ぐことによってマウス
       システムズ・モードに設定できることを確かめてくださいました。
     ○Uli Drescher 氏 (ud@digi.ruhr.de) からは、HN8348A チップに
       ついての動作確認をいただきました。 
     ○Urban Widmark 氏 (ubbe@ts.umu.se) が、第8ピンが Gnd である
       EC3567A1 チップで同じことを試していただきました。著者もこの
       チップを試しましたが、問題なく動きました。
     ○Timo T Metsala 氏 (metsala@cc.helsinki.fi) には、第3ピンと
       第9ピンの Gnd を繋いでマウスシステムズ・モードに設定する
       HT6510A チップの動作確認をいただきました。また同氏によって
       第8ピンが Gnd である HT6513B と HT6513F チップについての
       報告もいただいております。 
     ○Robert Romanowski 氏 (robin@cs.tu-berlin.de) には、第3ピン
       と第8ピン(Gnd)を繋ぐ EM83701BP チップの報告をいただきまし
       た。 
     ○Robert Kaiser 氏 (rkaiser@sysgo.de) には、第3ピンと Gnd を
       繋ぐ EC3576A1 の報告をいただきました。

     また前述のようなはんだ付けをするやり方ではなく、以下のような回
     路でマウスシステムズ・モードに設定することができます。この場合
     もボタンを押しながらブートします:

     Mathias Katzer 氏からの報告です。 

             -----                       
          ---  R  ---------O------ + 電源
         |   -----   |        |                     C = 100nF コンデンサ
         |           | E      |                     R = 100kオーム
         |       __ /         |                     T = BC557 トランジスタ
         |      /  \          O
         |   B | #V | T         /
         |-----|-#  |          /   マウスの左ボタン
         |     | #\ |         O
         |      \__/          |
        ---         \  C      |
        --- C        ------O----------> (マウスの内部へ)
         |
        ###  Gnd

     筆者は、マウス・スイッチが + 電源ではなく Gnd に繋がっているマウ
     スで、この方法が適応できるかどうかを試してみました。試したマウス
     は、MUS2S という無名モデルでしたが、BC557 のような NPN 型トラン
     ジスタは、R と C を入れ換えれば、動くはずです。

この項では、いろいろとマウスを3ボタン・モードに切り替える方法につい
て説明してきました。お手元の3ボタン・マウスをデフォルトのマイクロソ
フトの2ボタン・モードのまま使ってもよいとは思います。しかし、せっか
く3ボタン・マウスがあるのですから、その利点を生かすように、そのマウ
スに合った方法でXを設定してみてください。   

6. gpm でマウスのモードを切り替える

gpm とは、コンソール・モードでマウスを使うために起動するプログラムで
す。通常 Linux ディストリビューションに含まれています。コマンド・ラ
イン、または起動スクリプト(/etc/rc.d/rc.local) から始動します。ま
たバス・マウスでこのプログラムを起動すると、マウスをロックさせたり、
Xを起動させなかったりと多くの問題の原因になっていますが、シリアル・
マウスにはこのような問題はありません。
 
次は、gpm におけるシリアル・マウスの主要モードです:

   * gpm -t ms :マイクロソフト・モード
   * gpm -t msc :マウスシステムズ・モード

マウスシステムズ・モードで gpm を起動させるには、-3 フラグが必要にな
るかも知れません。また -o dtr フラグを使った DTR オプションが必要に
なる場合もあります:
 
   * gpm -3 -o dtr -t msc

また gpm は、マウスが現在どのプロトコルを使っているか調べることにも
使うことができます:       

   * gpm -t help
     
gpm は、しばしばマイクロソフト・モードであっても3つある全てのマウス
・ボタンを認識させることができます。新しいバージョン(1.0、またはそ
れ以降(?))においては、その情報を他のプログラムに渡すこともできま
す。そのようにする場合は、次のように -R オプションを付けて gpm を起
動します:

   * gpm -R -t ms

このようにすると gpm は、マウスの情報を /dev/gpmdata という新しいデ
バイスにエクスポートします。このデバイスは、他のプログラムからは1つ
のマウスに見えます。またこのデバイスは、いつもマウスシステムズのプロ
トコルを使っているということに注意してください。この場合の Xconfig
ファイルの設定は、/dev/mouse の代わりに /dev/gpmdata を用いますが、
この設定でXを起動するときは、必ず gpm を実行しておくようにしてくだ
さい。またこの設定で、たまにXが真中のボタンのイベントを認識しないと
いう不具合の報告を2ー3いただいておりますが、これはおそらくその特定
のマウスだけの問題だと思います。

Xと gpm のマウス・ボタンのマッピングを同じにするには:
(gustafso@math.utah.edu)

通常 gpm とXとの間には、マウス・ボタンのマッピングのデフォルト設定
に違いがあります。同一マシンでマッピングに違いがあるということは、混
乱を招く可能性がありますので、次のXのコマンドを使って gpm の選択/
張り付けのマウス・ボタン操作に合わせるようにXを設定します:

   * xmodmap -e "pointer = 1 3 2"

この設定は、2ボタン、3ボタン・マウスに関係なく、左は選択、右は張り
付けになりますが、gpm をXの標準ボタン・マッピングにするには、次のよ
うに -B オプションを付けて gpm を起動します:       

   * gpm -t msc -B 132

7. 2つのマウスを使う

備え付けのポインティング・デバイスのあるラップトップのようなコンピュ
ータの場合、2個目のデバイスとしてシリアル・マウスを使いたいと思うこ
とがあるかも知れません。そのようなラップトップ・コンピュータの場合、
備え付けのポインティング・デバイスは、ほとんどが ps/2 プロトコルを使
用していますが、もしそれを使いたくない場合は、無視することもできます。
普通に /dev/ttyS0 (または、その他のデバイス)を使って gpm あるいは、
Xを設定してください。

これらのポインティング・デバイスを同時に使うには、gpm で片方、もしく
は両方のデバイスをエクスポートしなおすという方法でうまくいくかも知れ
ません。Patrick Canupp 氏(canupp@leland.Stanford.EDU)が、これに成功
しています。詳細は、彼のウェブ・ページを参照してください: 

    http://www-leland.stanford.edu/~canupp/install_index.html

8. XF86ConfigファイルとXconfigファイルの例

Xのコンフィギュレーション・ファイル名とその場所は、Xの特定のリリー
スやディストリビューションによって異なりますが、次のいずれかに当ては
まるでしょう:

    /etc/Xconfig
    /etc/XF86Config
    /usr/X11/lib/X11/XF86Config

どのコンフィギュレーション・ファイルを使っているかは、Xを起動すると
きに(全てのオプションが画面に表示される前に)見えるはずです。
XF86Config と Xconfig ファイルのシンタックスが少し異なりますので、こ
こでは両方とも列挙します。

  マイクロソフト・シリアル・マウス

   * XF86config:
        Section "Pointer"
            Protocol "microsoft"
            Device "/dev/mouse"
        EndSection

   * Xconfig:
        #
        # マウス定義と関連する他のパラメター
        #
        Microsoft      "/dev/mouse"

  マイクロソフト・シリアル・マウス(2、または3ボタン)の3ボタン・
  エミュレーション

   * XF86config:
        Section "Pointer"
            Protocol "microsoft"
            Device "/dev/mouse"
            Emulate3Buttons
        EndSection

   * Xconfig:
        #
        # マウス定義と関連する他のパラメター
        #
        Microsoft      "/dev/mouse"
        Emulate3Buttons

  マウスシステムズ・3ボタン・シリアル・マウス

   * XF86config:
        Section "Pointer"
            Protocol "mousesystems"
            Device "/dev/mouse"
            ClearDTR        #  これらの2行は、必要ないかも知れませんので
            ClearRTS        #  最初は、これらのステートメントなしで試して
                            #  みて、次に DTR だけで試してみてください。
        EndSection

   * Xconfig:
        #
        # Mouse definition and related parameters
        #
        MouseSystems    "/dev/mouse"
        ClearDTR            #  これらの2行は、必要ないかも知れませんので
        ClearRTS            #  最初は、これらのステートメントなしで試して
                            #  みて、次に DTR だけで試してみてください。

  gpm -R 起動のマイクロソフト・シリアル・マウス

   * XF86config:
        Section "Pointer"
            Protocol "MouseSystems"
            Device "/dev/gpmdata"
        EndSection

   * Xconfig:
        #
        # マウス定義と関連する他のパラメター
        #
        MouseSystems      "/dev/gpmdata"

9. ケーブル、延長ケーブル、アダプタ 

次にマウスのケーブルの中のワイヤについて説明します。TxD と RxD は、デ
ータ転送、RTS と DTR (両方、またはどちらか一方)は、電源、Gnd は、ア
ースとして使われ、コネクタのピン番号で表すと次のようになります:

          9ピン・ポート   25ピン・ポート
      TxD       3                2
      RxD       2                3
      RTS       7                4
      DTR       4               20
      Gnd       5                7

上の表は、9ピンと25ピンの変換アダプタを作るときやマウスの延長ケー
ブルを作るときに役立ててください。

10. 様々な障害、設定    

* Xやコンソール・モードでマウスの障害があるときは、マウスと getty 
  やモデムなどのようなシリアル・ラインを使うハードウェアとの間でシリ
  アル・ポートの競合がないかどうか調べてください。また IRQ について
  も競合がないかどうか調べてください。

* システムの中には、Xウィンドウの起動時に何らかの信号、またはスパイク
  波をマウスに送るシステムもありますので、そのようなシステムでは、マウ
  スの左ボタンを押しながら、Xウィンドウを立ち上げなければなりません。

* シリアル・デバイスに関係する問題があるときは、ブート時にシリアル・
  ポートが正しく初期化されていない可能性があります。初期化を行なうに
  は、setseral というコマンドを使います。スタートアップ・スクリプト、 
  /etc/rc.d/rc.serial の中から起動します。詳しくは、setserial のマン
  ページ、あるいは Serial-HOWTO を御覧ください。UART チップの型番に
  ついては、少々実験が必要になるかも知れません。現在のポートに関係な
  く次のコマンドを試してみてください。

  > setserial /dev/mouse uart 16550 または 16550a

* 次のコマンドを使って RTS/CTS のハンドシェーキングを無効にしないと
  ClearDTR フラグが、正確に動かないシステムもあるようです:

  + stty -crtscts < /dev/mouse
  (Vladimir Geogjaev (geogjaev@wave.sio.rssi.ru) 氏が、UART 16450/
   Pentiumでテストしてくださいました。)

* ロジテックのマウスの真中のボタンを有効にさせるためには、コンフィギ
  ュレーション・ファイルに ChordMiddle のラインが必要です。
  Emulate3Buttons の代わりに記述するか、あるいは /dev/mouse のライン
  の後に加えます。それでも Xconfig には、ClearDTR と ClearRTS のライ
  ンが必要になるかも知れません。またロジテックのマウスの中でも、
  ChordMiddle のラインを入れるとスクロールしなければいけないメニュー
  がマウスの動きと共に動いてしまうという問題が起こるものもあります。
  (chang@platform.com 氏からの報告です。)

* ボタンのマッピングを変更する:xmodmap コマンドを使ってマウスのクリ
  ック毎の物理的なボタンのレジスタを変更することができます。
  例: xmodmap -e "pointer = 3 2 1"
  これで、マウスを左きき用のマウスに変えます。2ボタン・マウスの場合
  は、1 と 2 だけを使います。
 
* マウスのアクセラレーション:xset コマンド m オプションを使ってマウ
  スの設定を変えます。
  例:xset m 2
  これは、マウスのアクセラレーションを2にセットします。詳細は、man
  ページを御覧ください。

* ポインタ・オフセット:もしクリック・アクションが、現在のカーソルの
  位置より右、または左に一つずれて始まる場合は、画面の設定が正しく行
  なわれていない可能性があります。この障害は、よくS3のドライバを使
  ったときに起こりますが、xvidtune を使うと直るかも知れません。
  Invert_VCLK/InvertVCLK、もしくは EarlySC を試してみてください。こ
  の情報は、Bill Lavender 氏 (lavender@MCS.COM) と SimonHargrave 氏
  よりいただきました。XF86Config ファイルで次のように設定します:

     + XF86Config:
         Subsection "Display"
           Modes       "1024x768" "800x600" "640x480" "1280x1024"
           Invert_VCLK "*" 1

* マウス・ボタンを一回だけクリックしたにもかかわらず、ダブル・クリッ
  ク(二回クリック)・アクションが起こってしまうような場合は(バウン
  ス)、マウス自体に問題があるものと思われます。ロジテックのマウスに
  対するこのような問題の解決方法を、Bob Nichols 氏 
  (rnichols@interaccess.com) よりいただいております。マイクロスイッ
  チのバウンスをなくすようにマウスの中のレジスタとチップセットをはん
  だ付けします。

* ある特定のユーザ(ルート)だけがマウスを動かすことができ、他のユー
  ザは動かせないという現象が起こる場合がありますが、この障害の原因と
  して考えられることは、Xの環境設定の不備です。X起動時のメッセージ
  を注意深く観察し、Xのバージョンや Xconfig ファイルの内容を調整し
  てみてください。
              
* マウスのカーソルが画面に写ったものを消してしまうという現象が起こっ
  た場合は、Xサーバの設定に問題があると思われます。Xconfig ファイル
  のグラフィック・カード・セクションに linear または nolinear オプシ
  ョンを、またお使いのグラフィック・カードが PCI であれば、
  tgui_pci_write_off オプションと tgui_pci_read_off オプションを付け
  てみてください。(この問題はトライデントのカードによく見られます。)
 
* 晴れた日や部屋のライトを付けたときに、マウスが動かなくなる場合があ
  りますが、これはケースの外からの光によってマウスのセンサーが狂って
  しまうからです。これを直すには、ケースの内側を黒く塗って、光の反射
  を防ぐか、あるいは光の入るところにカードなどを入れ、光の進入を防ぎ
  ます。

* マイクロソフトのマウスが、問題の原因となっているということがよくあ
  るようです。最新の「マイクロソフト・シリアル・マウス 2.1A」では、
  システムによって動作しないとの報告をかなりいただいております。「マ
  イクロソフト・インテリマウス」もまた、問題になっている場合が多いの
  ですが、このマウスは XFree 3.3 以降ではサポートされているようです。

11. 動作の確認が取れているモデル

現在市場には、非常にたくさんのマウスが出回っています。正直言ってどの
マウスを買うように薦めたらいいか分かりません。ここで私のできることは、
様々な経験などから、各々のマウスについての特徴を列挙することだけです。
しかし、これらの情報を参考にしてもまだ少し注意が必要になることがあり
ます。例えば、私のオフィスに全く同じ2つのマウスが2つのコンピュータ
にそれぞれ繋がっていますが、これらのマウスは、全然異なった動きをしま
す。このようなことから下記のような情報が非常に役に立ってきますので、
皆様からの貴重な情報をお待ちしております。

      マウスシステムズ・オプティカル・マウス - シリアル・バージョン
      (Mouse Systems optical mouse, serial version)
             (マウスシステムズの名前から分かるように)コンフィグ・
             ファイルの ClearDTR、ClearRTS なしでよく動きます。
      WiN マウス (Office World より £8で売られています。)
             普通のデュアル・モード(マイクロソフト/マウスシステム
             ズ)・マウスです。
      Agiler マウス
             普通のデュアル・モード(マイクロソフト/マウスシステム
             ズ)・マウスです。はんだ付け不可。
      Sicos マウス
             動きます。コンフィグ・ファイルに ClearDTR、ClearRTS が
             必要です。
      Index マウス(£10)
             3ボタン・モードでは、動きません。しかしドキュメントは
             非常にしっかりしています。:-)
      Artec マウス
             普通のデュアル・モード(マイクロソフト/マウスシステム
             ズ)・マウスです。コンフィグ・ファイルに ClearDTR が必
             要です。ClearRTS は、必要ありません。
      DynaPoint 3ボタン・シリアル・マウス
             普通のデュアル・モード(マイクロソフト/マウスシステム
             ズ)・マウスです。Xconfig コンフィグ・ファイルに
             ClearDTR、ClearRTS の両方が必要です。
      Genius Easymouse 3ボタン・マウス
             マウスマン(Mouseman)プロトコルで立派に動きます。
             ChordMiddle パラメタは、要りません。この情報は、
             Roderick Johnstone 氏 (rmj@ast.cam.ac.uk)よりいただき
             ました。
      Truemouse 台湾製
             動きます。コンフィグ・ファイルに ClearDTR が必要です。
             (この情報は、Tim MacEachern 氏よりいただきました。)
      Champ マウス
             マウスシステムズ・モードにする場合は、PC モードにスイ
             ッチをあわせる必要があります。
             (この情報は、 tnugent@gucis.cit.gu.edu.au 氏よりいた
             だきました。)
      MicroSpeed マウス
             普通のデュアル・モード(マイクロソフト/マウスシステム
             ズ)・マウスです。
      Venus マウス ($7)
             マウスの中に2ボタン/3ボタン・モードを切り替えるジャ
             ンパー・スイッチが入っています。
             (この情報は、mhoward@mth.com 氏よりいただきました。) 
      Saturn
             スイッチ付きのマウスです。3ボタン・マウスシステムズ・
             モードで動作します。
             (この情報は、grant@oj.rsmas.miami.edu 氏よりいただき
             ました。)
      Manhattan マウス
             MS AM / PC AT のモード・スイッチがあります。MS モード
             は、gpm -R でよく動きます。
             (この情報は、komanec@umel.fee.vutbr.cz 氏よりいただ
             きました。)
      Inland マウス
             PC/MS のモード・スイッチがあります。よく動きます。
             (この情報は、http://ptsg.eecs.berkeley.edu/~venkates
             氏よりいただきました。)
      qMouse (3ボタン) FCC ID E6qmouse X31
             アメリカで$10前後で売られています。gpm -t msc -r 20
             は動きますが、Xでは動作の保証はできません。echo "*n" 
             > /dev/mouse の応答が得られません。
      Mitsumi Mouse (2ボタン) FCC ID EW4ECM-S3101
             アメリカで$12前後で売られています。gpm とXの両方で
             動作の確認が取れています。動きがスムーズな2ボタン・マ
             ウスです。
             (上の2つの情報は、gustafso@math.utah.edu 氏よりいた
             だきました。) 
      PC Accessories マウス
             CompUSA で$10未満で売られています。PC/MS のモード・
             スイッチがあります。よく動きます。
             (この情報は、steveb@communique.net 氏よりいただきまし
             た。) 
      First マウス - 非常に安い。Tempo で£7.79です。
             普通のデュアル・モード(マイクロソフト/マウスシステム
             ズ)・マウスです。モードは、スイッチやジャンパーはなく、
             4本のワイアで接続するため、コンピュータ立ち上げ時にボ
             タンを押して設定します。echo '*n' は動きませんが、
             gpm -R は、非常によく動きます。
             (この情報は、peterk@henhouse.demon.co.uk 氏よりいただ
             きました。)
      Trust 3ボタン・マウス
             スイッチ付きのデュアル・モード(マイクロソフト/マウス
             システムズ)・マウスです。マウスシステムズ・モードにす
             る場合は、スイッチを PC にあわせます。gpm では、マイク
             ロソフト・モードは動きません。

      Chic 410 
             マイクロソフト・モードや gpm -R コマンドで完璧に動きま
             す。Stephen M. Weiss 氏 (steve@esc.ie.lehigh.edu) より。
      KeyMouse 3ボタン・マウス
             スイッチは、ありません。Xconfig の中で ClearDTR と
             ClearRTS を設定します。gpm では、-o dtr が必要です。
             (EZ4PHIL@aol.com) 
      Qtronix キーボード「Scorpio 60」 
             3つの全てのボタンが、マウスシステムズ・プロトコルで
             動きます。(hwe@uebemc.siemens.de) 
      Tecra 720 ラップトップ
             タッチパッド型のポインティング・デバイスは、/dev/cua0。
             スティック型の方は、/dev/psaux。(apollo@anl.gov) 
      Anubis マウス
             Xのバーチャル・コンソールに切替えるときは、左ボタンを
             押します。(Joel Crisp 氏) 
      Yakumo No.1900 マウス
             gpm -R -t ms をXにエクスポートすることができます。
             (Oliver Schwank 氏) 
      Genius 「Easy Trak」トラックボール 
             マイクロソフト・モードでは、使えません。Xconfig で
             Mouseman を指定するとよく動きます。(VTanger@aol.com) 
      Highscreen Mouse Pro 
             よく動きます。(alfonso@univaq.it)
      Logitech CA series
             Xconfig で MMseries プロトコル、2400 Baud、
             150 SampleRate、を指定します。(Logitech CC、CE、C7、
             C9 マウスでも適用できると思います。)(vkochend@nyx.net) 
      A4-Tech マウス
             DTR line を指定すると X と gpm の両方で動きます。
             (deane@gooroos.com) 
      マウスシステムズ「スクロール」マウス (4ボタン、ローラー/ボ
      タン)
             2/3 スイッチが、付いています、3に合わせるとマウスシ
             ステムズ・モードで動きます。4つ目のボタン、ローラー
             は、無視します。ClearDTS/DTR は、要りません。
             (parker1@airmail.net) 
      Boeder M-7 ``Bit Star'' (M13 以外の M シリーズマウスにも適用
      します。)
             電源投入時にいずれかのボタンを押し、ブートするとマウ
             スシステムズ・モードに変わります。 
             (sjt@tappin.force9.co.uk) 
      Vertech マウス
             通常のマイクロソフト/マウスシステムズの動作をします。
             はんだ付けの方法も適用できます。
             (duncan@fs3.ph.man.ac.uk)              

12. その他

   * 次の URL は、マウスシステムズのウェブ・サイトです。
        http://www.mousesystems.com/
     ここには、ウィンドウズのドライバもありますので、必要なときは、
     ダウンロードしてください。
   * Linux の Serial-HOWTO は、世界各地の sunsite のミラーにあると
     思いますが、最寄りのサイトがどこにあるか分からないときは、次の
     URL から始めてください。
        http://sunsite.unc.edu/mdw/linux.html
   * 次の URL では、マウスがどのように動作するかを非常によく説明して
     あります。
        http://box.argonet.co.uk/users/4qd/meece.html.
   * Xconfig ファイルや XF86Config ファイルの詳細については、該当す
     る man ページや Xfree86 HOWTO のようなXウィンドウのインストー
     ルのドキュメントを御覧ください。また XFree86 FAQ も御覧ください。
     次の URL から辿れます。
        http://www.XFree86.org/
   * gpm についての情報は、man ページからも取得できますが、Darin
     Ernstcan 氏のウェブ・ページからも取得できます。
        http://www.castle.net/X-notebook/mouse.txt

   * マウスのハードウェアやソフトウェアの情報は、次のページからも取
     得できます。
        http://www.hut.fi/~then/electronics/pc.html#pc_mouse 

13. 最後に (Mouse Tail)       

この文書の情報の多くは、様々な Linux のニュース・グループから取得し
ました。それらのニュース・グループで貴重な情報を提供してくださった
方々にこの場を借りて御礼申し上げます。

まとめ:

   * たとえ安価な3ボタン・マイクロソフト・マウスでも動作させること
     ができます。
   * マウスシステムズ・マウスを動作させるためにXのコンフィグ・ファ
     イルを設定します。
   * マウスをマウスシステムズ・モードに切り替えるために左ボタンを押
     しながらシステムを立ち上げます。
   * 左ボタンを押しながらXを起動しなければならないかも知れません。
   * マウスは、あなたが思っているよりかしこそうですね。
   _________________________________________________________________
 
Page written by Geoff Short, started March 1996

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