The Linux Busmouse HOWTO Chris Bagwell, cbagwell@sprynet.com v1.91, 15 June 1998 森本 淳 morimoto@xantia.citroen.org 31 Jan 1999 この文書は、バスマウス(Busmouse)をどのように Linux にインストールし、 設定して使えるように持っていくかを解説しています。サポートされているマ ウスをリストアップし、さらに、ニュースグループやメーリングリストによく 出てくる FAQ に対する答えになろうとしています。 ______________________________________________________________________ 目次 1. はじめに 1.1 無保証 1.2 フィードバック 1.3 謝辞 2. マウスの種別を判定しましょう 2.1 マウスのインタフェース 2.2 Inport マウス 2.3 Logitech マウス 2.4 PS/2 マウス 2.5 ATI コンボ ビデオ/マウス 2.6 マウスのプロトコル 3. マウスを使えるようにしよう 3.1 マウスの割り込み番号の設定 3.2 Inport と Logitech マウス 3.3 ATI-XL マウス 3.4 PS/2 マウス 3.5 カーネルの設定 3.5.1 カーネルのコンパイル 3.5.2 selection 3.5.3 新しいカーネルにおいて割り込み番号を変える 3.6 マウス・デバイス 4. マウスの運用 4.1 gpm 4.2 XFree86 4.3 XFree86 と gpm 5. でもまだマウスが動かない? ______________________________________________________________________ 1. はじめに この文書は、お持ちの busmouse を Linux で使えるようにするための手引き です。先進のディストリビューションが利用可能な今日、バスマウスの設定な んて一般的には楽なものです。とはいえ、いざ問題に出くわしたとき、あなた のバスマウスのハードウェアとソフトウェアを手作業で設定するやりかたにつ いて、この文書はより良い理解をもたらす助けになることでしょう。 バスマウスのサポートは、私が覚えている限りの昔からカーネルに入っていま したし、ずっと長いこと特に変化もしていません。ですから、この文書はどん なバージョンの Linux に対しても適切なものでしょう。 1.1. 無保証 この文章に記される情報は私の知る限り正しいものですが、間違える可能性と も常にあるものです。何かおかしいなと思われた時などは特に、書いてあるこ とを何でもかんでも鵜のみにしないでください。お持ちのコンピュータに被害 を及ぼすようなことは何もないはずですが、万が一そんな場合、この文書に含 まれる情報の利用により惹起されたいかなる損害についても、私は責任を負い ません。 Microsoft(R) は Microsoft Corporation の商標です。 1.2. フィードバック この文書に何らかの誤りを見つけたら、その内容にコメントを追加するか、も しくは更新、追加するなどして、この HOWTO の最初に書いてある私のアドレ スまで送ってください。 (訳注: 和訳に関するものは森本 淳 morimoto@cup.com 宛にお願いします.) 1.3. 謝辞 この HOWTO は、Linux の精神のもと、コミュニティの努力によって成ってき ました。この FAQ を始めた Mike Battersby mib@deakin.edu.au に感謝しま す。間違いのほぼすべては私によるものです。 PS/2 マウスの章では Johan Myreen に多大なる感謝を捧げます。 ATI-XL の 章では Robert T. Harris の助力を、そして Reuben Sumner には種々の情報 と建設的な批評をいただきました。 マウスに関する情報や修正点、励ましの言葉をくださった多くの方々にも感謝 します。 (訳注: 翻訳に際し、Yasuhiro Yamazaki (「鳩印石鹸」について)、中野@成 蹊大、長谷川靖 各氏のご助力をいただきました。ここに記して感謝します。) 2. マウスの種別を判定しましょう まず先に進む前に、まずあなたのマウスについて知っておかなければならない 二つの重要な特性があります。どんなインタフェースか、そして、どんなマウ ス・プロトコル が使われているかの 2 つです。インタフェースとは、マウス がどの I/O ポートを使っているかとか、どうやって接続を検出するかといっ たたぐいの、ハードウェア寄りの問題です。これはカーネルに関係する部分で あり、カーネル自身がマウスからのデータの読み出しかたを知っています。一 方、プロトコルのほうはソフトウェア寄りの問題です。カーネルから受けとっ たマウスの生(raw)データの内容をアプリケーションが解釈するためには、ア プリケーションはそのプロトコルについて知っていなければなりません。 2.1. マウスのインタフェース Linux のカーネルは、現在 4 種類のバスマウス・インタフェースをサポート しています。Inport (Microsoft)、Logitech、PS/2、そして ATI-XL の 4 つ です。マウスのインタフェースを確実に判別できる方法はありません - 一般 に、マウスの製造会社は、自分の規格がひとたび標準的になってしまえば、自 分の行く道を勝手に行ってしまうものですから。以下の章が助けになるでしょ う。さもなくば、適当にでっちあげて試してみるだけです。 2.2. Inport マウス 「鳩印石鹸」のような形をした古いタイプの Microsoft マウスもこの Inport マウス に含まれます。アメリカで Gateway のマシンを発注したユーザは、附 属のマウスが Inport マウスでなくて PS/2 マウス(下記参照)であることに注 意しないといけません。通常、Inport マウスはマザーボードのバスに差した インタフェース・カードに接続されます。インタフェース・カードにマウスの コードを差し込む部分のプラグが丸く、9 ピンで、片方に切れ目が入っている ならば、多分それは Inport マウスです。 (訳注: 「鳩印石鹸」はアメリカで売られている石鹸。上から見ると楕円形、 横から見ると弓型に反っているそうです。) 私が知る限り、ATI-XL 以外の ATI のマウスは、(Graphics Ultra グラフィッ ク・カードに附属しているものも含め) すべて単なる Inport マウスです。 2.3. Logitech マウス Logitech マウスは、普通は Inport マウスとほとんど一緒の外見で す。Inport マウスと同じく、9 ピンのミニ DIN コネクタでインタフェース・ カードに接続します。ただ運がいいことに、Logitech マウスは Logitech の 箱に入っていますし、コネクタ・カードに ``Logitech'' と印刷してあったり もしますので、これは確かに Logitech のマウスなんだな、ということがわか ります。 かなり古い Microsoft マウス(マウス・ボールの他にボール・ベアリングも底 面に付いており、DB9 コネクタを用いているもの)にも、Logitech プロトコル を使っているものがあります。 2.4. PS/2 マウス PS/2 マウス は、実は全然バスマウスじゃありません。PS/2 マウスのインタ フェースは拡張カードではなく、キーボードコントローラの PS/2 外部デバイ スポートに接続されます。PS/2 マウスのポートはキーボードのコネクタに似 た 6 ピンのミニ DIN コネクタです。トラックボールとの接続にこの種のイン タフェースを用いているラップトップ・パソコンも多くあります - もちろ ん、コネクタは除いての話ですが。 2.5. ATI コンボ ビデオ/マウス ATI-XL マウスは Inport マウスの一種ですが、ちょっとした違いがありま す。このマウスは ATI-XL のビデオアダプタとマウスのコンボセットについて くるものです。ATI-XL カードを所有しているわけでもなければ(従って ATI- XL マウスも持ってなければ)、多分どっちもあなたには関係ないでしょ う。ATI-XL マウスは、ATI-XL、Inport 両方のカーネル・ドライバで使うこと ができますが、ATI-XL ドライバで使ったほうが良い結果が出ます。 ATI VGA1024 もしくは ATI VGA Wonder と呼ばれる、ATI の古いビデオアダプ タ/マウスカードもあります。これらは ATI-XL 同様の構成ですが、Logitech マウス・プロトコルを使っています。このマウスを使うのなら、ハードウェア の設定は ATI-XL と同じく、ソフトウェア(例えば IRQ) は Logitech マウス と同様に設定してください。 2.6. マウスのプロトコル PC の世界は、異なった、そして互いに衝突するマウスのプロトコルだらけで す。幸いなことに、バスマウスにおける選択の数は、シリアルマウスのそれよ りはかなり少なくて済みます。 Inport、Logitech、そして ATI-XL マウスの ほとんどは ``BusMouse'' プロトコルを使っていますが、かなり古い Logitech マウスには ``MouseSystems'' プロトコル、そして ``Logitech''プ ロトコルを使っている古い Microsoft マウスさえもあります。PS/2 マウスは ``PS/2'' プロトコルを使っています。 3. マウスを使えるようにしよう これでマウスのインタフェースとプロトコルの種類がわかりました。次に進み ます。 3.1. マウスの割り込み番号の設定 さあ、これから、あなたのマウスが使っている割り込み番号を調べ、マシンに インストールしてある他の周辺機器と衝突しないことを確かめないといけませ ん。とくに後者は繰返しチェックするべきです! 付けてある他のデバイスと ぶつかっていないこと! マウスが他のデバイスのいずれとも同じ割り込み番号を使おうとしていないこ とを確認すべきです。たとえ他のオペレーティング・システムでうまく動いて いようとも、Linux ではマウスが割り込み番号を他と共有することはできませ ん。すべての周辺機器についてドキュメントをチェックし、何がどの割り込み 番号を使っているのか調べましょう。 プラグ・アンド・プレイのカードを持っている場合は、仮に他のオペレーティ ング・システムで使っている場合なら、マウスが他のデバイスと衝突しないよ う OS が IRQ を初期化してくれているのかもしれないが、Linux ではこの手 のチェックができない、ということを心に留めておいてください。機器すべて において IRQ の衝突が無いことを確認する。これはあなた自身にかかってい るのです。 大抵の場合、IRQ4 が 1 番目のシリアル・ポート(/dev/ttyS0)、 IRQ3 が 2 番目 (/dev/ttyS1) (本当にこのへんのデバイスが付いていたら、の話です よ。付いてないんなら、これらの IRQ は大手を振って使っていいわけです) SCSI アダプタには IRQ5 を使うものがあり、そして IRQ12 を使うネットワー ク・カードもあります。IRQ12 を使うカードは、PS/2 ポートの付いたマシン にとっては大問題。一般的に、IRQ12 を PS/2 ポート専用に使うことを強いら れてしまうからです。 ATI-XL、Inport、Logitech マウスの場合、カーネルのデフォルトは IRQ5 を 使うようになっています。ですので、コンパイル済みのカーネルを使わざるを 得ない場合(CD-ROM からブートした場合など)は、その割り込み番号を使わな ければならないことになるでしょう。Inport か Logitech のマウスを最近の カーネルで使うのなら、何番の割り込みを使うのかコマンド・ライン・オプ ションを使ってカーネルに伝えることができますから、再コンパイルの手間は 要りません。 3.2. Inport と Logitech マウス コンピュータのケースを開け、マウスが繋がっているカードを見れば、割り込 み番号(IRQ という名称でも知られています)を 2, 3, 4, 5 に設定する一連の ジャンパがきっとあるでしょう(運が良ければ ``INTERRUPT'' と記してありま す)。割り込み番号を変更するには、単にジャンパを今の位置から抜いて、正 しいピンの対に差し込むだけです。 **************************************************** *** ジャンパを変更する前は、コンピュータの電源が *** *** 切ってあることを確認!! *** **************************************************** 3.3. ATI-XL マウス ATI-XL、そしていくつかの ATI バスマウスなら IRQ をソフトウェアで選択可 能です - マウスと一緒に、IRQ を設定する MS-DOS プログラム (VSETUP.EXE) もついてきたはず。設定するには、(いったん) MS-DOS を立ち上げて、このプ ログラムを動かしてください。VSETUP プログラムには、垂直リフレッシュレ ートを上げる(画面のちらつきを押える)ためのオプション ``/70'' があるこ とに注意。 VSETUP プログラムではマウスのアドレスをプライマリとセカンダ リのどちらかに設定することができますが、プライマリの方に設定してくださ い。さもないと、カーネルがマウスを認識できなくなります。 VSETUP を動かした後は一旦ハードウェアリセットをかけないと、新しい設定 内容が有効になりません。 3.4. PS/2 マウス PS/2 マウスは必ず IRQ12 を使います。変更することはできません(ハンダゴ テを持ち出すならともかく)。めったにないでしょうが、他のデバイスも IRQ12 を使っているというような場合、その周辺機器のほうのジャンパを再設 定し、他の IRQ を使わせるようにしなければなりません。 3.5. カーネルの設定 お持ちのバスマウスを正しく動作させるためには、バスマウスのサポートが組 み込まれるようカーネルを設定しなおす必要があります。コンパイル済みのカ ーネルを使っている場合は、三種のバスマウスすべてのサポートが組込み済み になっていることも多いでしょう。でもこれでも充分でないことがあるんで す。そのカーネルは、実際とは違った割り込み番号を使おうと試みたり、自動 検出に混乱したあげく、あなたのマウスを違う種別のものとみなしたりするか もしれません。疑わしいときは、あなたのマウスの種別だけをサポートし、正 しい割り込み番号を使うようにカーネルをコンパイルし直してみてください。 3.5.1. カーネルのコンパイル カーネルのディレクトリ(ここでは /usr/src/linux と仮定します)に行き、 make config とします。 お持ちのマウスの種別がはっきりしない場合、まず最初はバスマウスのオプ ションをすべて有効にしてからカーネルを再コンパイルするとよいでしょう。 あなたのマウスを起動時にうまいこと自動判別してくれるかもしれません。こ れでいつもうまくいくとは限りませんが、うまくいけば、もうコンパイルしな いで済みますしね。 お持ちのバスマウス・インタフェースに属する質問項目には ``y'' または ``m'' と答え、それ以外すべてのバスマウスの問いには ``n'' とします。 ``m'' オプションは、あなたのシステム設定がカーネルモジュールのローディ ングに対応しているときにだけ使ってください。対応していない場合、あるい はいま言ったことの意味がわからないなら ``y'' と答えておいたほうが無難 です。これなら、機能がカーネルの中に直接組み込まれます。 例として、Inport マウスを持っているのならば、 Microsoft busmouse support に対して ``y'' とし、他のバスマウス全ての質問には ``n'' と答えます。マ ウスと関係ない質問には、いつものように答えてください。 PS/2 マウスのサポートを組み込んだカーネルをコンパイルするなら、 PS/2 mouse (aka "auxiliary device") support に ``y'' と答えます。 PS/2 マウスドライバは、実は 2 種類のデバイスをサポートしています。標準 の PS/2 外部デバイスコントローラ、そして Texas Instruments Travelmate と Gateway Nomad ラップトップで使われている Chips & Technologies の特 殊な PS/2 マウス・インタフェース・チップの 2 つです。これらの機種のト ラックボールのサポート有りでコンパイルするには、 C&T 82C710 mouse port support (as on TI Travelmate) に ``y'' と答えます。82C710 ドライバは実は標準 PS/2 マウスドライバに対 するアドオンなので、ここだけでなく標準 PS/2 ドライバに対しても ``y'' と答える必要があることに注意してください。 標準の PS/2 マウス・デバイスと、82C710 デバイス両方の設定がしてある場 合、ドライバはブート時にまず 82C710 チップの存在を確認しようとします。 検出に失敗すると、代りに標準ドライバが用いられるようになっています。で すので、これらのマウス・インタフェースを両方とも組み込んでおいたカーネ ルでは、標準の PS/2 マウス・ポートをも利用できます。しかしながら、存在 しない 82C710 チップが間違えて検出されてしまったという報告が 1 件あり ました。ですから、安全策を取るなら、必要ない 82C710 のサポートは設定し ないのが無難です。 そして、マウスがどの割り込み番号を使うのかカーネルに教えてやらないとい けません。もっとも PS/2 マウスならば IRQ 12 に固定なので、ここはスキッ プできます。 Logitech, Inport, あるいは Logitech プロトコルを使う ATI マウスなら、 /usr/src/linux/include/linux/busmouse.h というファイルの #define MOUSE_IRQ 5 という行をマウスの割り込み番号に合わせます(マウスの割り込み番号の探し 方については、``マウスの割り込み番号の設定'' を参照してください) ATI-XL マウスなら、/usr/src/linux/drivers/char/atixlmouse.c の以下の行 をマウスの割り込み番号に合わせてください。 #define ATIXL_MOUSE_IRQ 5 マウスの割り込み番号を 2 にしたい場合は、PC アーキテクチャの特殊性のた め、#define のほうは 9 にしなければなりません。 例 割り込み番号 3 を使うマウスでは #define MOUSE_IRQ 3 割り込み番号 2 を使うマウスでは #define MOUSE_IRQ 9 のように、上記の行を書き換えます。 次に、カーネルを付属の説明に従ってコンパイルし、できた新しいカーネルで ブートします。これで、バスマウスのサポートがちゃんと含まれたカーネルを 手にすることができました。 3.5.2. selection 古いカーネルでは、selection (バーチャル・コンソール上で、X のそれ同様 なカット & ペーストを可能にしてくれるプログラム) を使うためには、それ 用のサポートをカーネルにコンパイルして組み込んでおかないとならないこと があります。このオプションは最近のカーネルには現われませんし、 selection というプログラムは一般に gpm というプログラム(詳しくはセク ション ``gpm'' 参照)に世代交替しました。 古いカーネルでやっているなら、マウスの種別が何であろうと、このオプショ ンを ``y'' にすれば selection プログラムが使えるようになります。 3.5.3. 新しいカーネルにおいて割り込み番号を変える どの割り込み番号を使うかをコンパイル時に決めて組み込んでしまうのは、ど んなバージョンのカーネルでも使える方法です。新しめのカーネル(2.x.x あ たりのどこかから)では、LILO や LOADLIN の類を使って、カーネルが読み込 まれる間に Logitech や Microsoft Inport マウスの割り込み番号を引数とし てカーネルに渡せるようになっています。カーネルをコンパイルし直さないで (あるいはやりかたを知らなくっても)よいので、実に時間の節約になります。 また、マウスドライバをモジュールとしてロードするようカーネルを設定した 場合は、モジュールがロードされるときにこういった情報を渡すことになりま す。 以下のオプションを LILO の boot 行に与えれば、割り込み番号を変更できま す。 bmouse=3 (Logitech バスマウス) msmouse=3 (Microsoft Inport マウス) 上の数値 3 を、お使いのマウスの実際の割り込み番号に置き換えてくださ い。 lilo でこれを使う例は: LILO:linux msmouse=3 この手の種別情報を LILO や LOADLIN の設定ファイルに加えてしまえば、も ういちいちタイプして指定しなくて済みます。やりかたは LILO, LOADLIN の ドキュメントにあたってみてください。 モジュールを使っている場合、insmod を使って、割り込み番号を手で設定で きます: insmod msbusmouse.o mouse_irq=3 (Inport マウス用) insmod busmouse.o mouse_irq=3 (Logitech マウス用) あなたのシステムがモジュールの自動ロードに kerneld を使っている場合 は、 /etc/conf.modules か /etc/modules.conf を編集して下のうちのいずれ か 1 行を足してください。 options msbusmouse mouse_irq=3 options busmouse mouse_irq=3 3.6. マウス・デバイス Linux では、マウスは /dev ディレクトリにあるファイルを通じてアクセスさ れます。下の表は、インタフェースの種類と、どのデバイスファイルを使うべ きかのリストです。 インタフェース デバイスファイル メジャー番号 マイナー番号 ----------------------------------------------------------- Logitech /dev/logibm 10 0 PS/2 /dev/psaux 10 1 Inport /dev/inportbm 10 2 ATI-XL /dev/atibm 10 3 注意: Inport ドライバで ATI-XL マウスをお使いの場合、/dev/atibm デバイ スではなく /dev/inportbm を使ってください。 major と minor は、デバイス固有のデバイス番号です。 これらのデバイスがなかった場合は、まず作らなければなりません。以下のコ マンドを root で実行してください。 mknod /dev/logimm c 10 0 mknod /dev/psaux c 10 1 mknod /dev/inportbm c 10 2 mknod /dev/atibm c 10 3 注意: Linux の近年の歴史(比較的最近)において、バスマウスのデバイスの名 称が変更されました。以下のデバイスの名称は上記のものに置き換えられまし たので、消去すべきです: bmousems, bmouseps2, bmouseatixl, bmouselogitech. 使っているマウス・デバイスから /dev/mouse へシンボリック・リンクを張る 人が多いようです。そうすれば、デバイスの名称をいちいち覚えている必要が なくなります。現在配布されている Linux パッケージでも、多分そうなって いるでしょう。そのようなリンクがある場合、もしくは自分でリンクを張った 場合は、自分のマウスに合った正しいマウス・デバイスを指しているかどう か、確認してください。 4. マウスの運用 この章では、いろんなアプリケーションにおけるマウスの一般的な使いかたに ついて取り扱います。 4.1. gpm gpm とは、マウスを使ったカット・アンド・ペーストを、X の上でできるのと 同じように、Linux の仮想端末間で可能とするプログラムです。これはお持ち のマウスの動作テストにもよい方法となります。 gpm の現在のバージョンは gpm-1.13.tar.gz で、お近くの Linux 関係 FTP サイト(たとえば Ring Server)にもあるでしょう。コンパイルのための情報も そのなかに含まれています。例えば Red Hat のように、コンパイル済みの gpm バイナリが付いてくるディストリビューションもあります。 gpm を起動するときは、お使いのマウスがどのプロトコルを使っているかを -t スイッチ、そしてマウスのデバイス・ファイルがどれなのかを -m オプ ションを使って指定します。だいたいのバスマウスをまかなえる 3 プロトコ ルは、それぞれ logi, bm, ps2 として指定します。マウスのデバイス・ファ イルのデフォルトは /dev/mouse になっていますので、適切なシンボリック・ リンクが張ってあるなら、-m オプションは省略してしまってかまいません。 例えば Microsoft Inport マウスの場合は: gpm -t bm PS/2 プロトコルなら: gpm -t ps2 それからマウスを動かしてみれば、スクリーン上をカーソル・ブロックが動き まわるのがわかるでしょう。マウスボタンを使って、仮想端末間でカット・ア ンド・ペーストできることも。より詳しい操作方法については、gpm に付いて くる文書を読むか、``man gpm'' してみましょう。 4.2. XFree86 お持ちのバスマウスを XFree86 で使う場合、お使いのマウスのプロトコルを Xconfig ファイル(訳注: 現在では XF86Config ファイル。以下 XF86Config とします)に記さなければなりません。BusMouse プロトコルのマウスをお持ち の場合、XF86Config には以下の内容が入っていないといけません (ダブル・ クォートも入ります): (訳注: 詳しくは man XF86Config を参照してください.) Section "Pointer" Protocol "Busmouse" Device "/dev/mouse" # Any other options such as Emulate3Buttons EndSection PS/2 マウスならこうします: Protocol "PS/2" 2 ボタンのマウスなら、以下の行も必要です。マウスの左右ボタンを同時に押 せば、中央ボタンの付いていないマウスでも、中央ボタン押し下げをエミュレ ートできます: Emulate3Buttons ``BaudRate'' や ``SampleRate'' のようなマウスの他の設定項目はバスマウ スには関係ありませんから、コメント・アウトしておいたほうがよいでしょ う。 4.3. XFree86 と gpm カーネルのその開発の歴史において、バスマウスを複数のプロセスで共有する ことは長いあいだできませんでした。そのため、XFree86 と gpm を同時に走 らせることは困難だったのです。gpm が走っている状態で X を動かそうとし て下のようなエラーに見舞われた場合は、そういった古いカーネルのどれかを 使っている、ということなのです。 Fatal server error: Cannot open mouse (Device or resource busy) こういったカーネルで XFree86 と同時に gpm を使うには二つの方法がありま す。まず一つは、XFree86 を立ち上げる前に、gpm のプロセス全てを殺してし まうことです。もう一つは、gpm の ``repeater'' オプションを使うこと。こ れはマウスからのデータを受け取り、その情報を複数のアプリケーションに対 して再生します。 でも私としては、可能ならカーネルをアップグレードすることをおすすめしま す。そうすればバスマウスを他のプロセスと共有できますから。この文書で は、古いカーネルで XFree86 と gpm を一緒に使う件については、簡単な方法 のほうについてだけ説明します。repeater オプションを使う方法については gpm の文書を見てください。 以下のようにすれば、gpm は走っている自分のコピーすべてを終了させます。 gpm -k これは X11 を立ち上げる前にやらないといけません。X を立ち上げるのに 使っているスクリプト、たとえば startx を見て、上記のコマンドをそのスク リプトのてっぺんに追加します。そうすれば gpm は(X が立ち上がる前に)自 動的に終了することになります。そのスクリプトの最後に gpm をリスタート させるコマンドも追加しておけば、X のセッションを終了したあと、gpm も再 び立ち上がります。 5. でもまだマウスが動かない? ということは、あなたはこの HOWTO を何回も何回も通読し、やるべきと思わ れることは全てその通りやってみて、それでもなおマウスが動かないんです ね?私に差し上げられる最良のアドバイスとは「経験を積むこと」です。確か につらいかもしれませんが、うまくいくまで、いろんな方法を全て試してみる ことが、結局は唯一の方法なのです。 常套手段ですが、わからないことがあったら、まずマニュアル・ページを読ん でみて、役に立つかどうか見てみてください。特定の疑問、ないしは私になら 助けてあげられそうな問題があれば、この HOWTO の最初に挙げたアドレスを 使って、私に気楽に連絡してみてください。そうすれば、私がお役に立つかど うか、あるいは助けになる人を紹介できるか、わかるでしょう。 comp.os.linux.help か comp.os.linux.hardware ニュースグループは、マウ スの設定に関する質問、討論に適切なところです。 (訳注: 日本語のニュースグループならば、fj.os.linux.setup や fj.os.linux, japan.comp.linux あたりでしょう) それ以外のニュースグループに質問を投稿しないでください。特に 2 つ以上 の Linux 関連ニュースグループにクロスポストすることは慎んでください... あそこらへんはもう充分にゴチャゴチャなんですから! 投稿する際は、適切 な Subject: と Keywords: をつけるようにしましょう。そうすれば、より良 い反応(と、より少ないイチャモン!)が返ってくるでしょう。例えば: Subject: バスマウス - Gateway 2000 のマウスが動きません Keywords: mouse busmouse gateway